第七章 危機

 初指名を頂いてから新たに頑張ってホストを続けたジミーだったが、それ以降やはり指名客が取れないまま月日が経つ。


 そして、遂に給料が貰えない月が来た・・・


『すまない・・・ジミーは、店の管理、雑用は任せれるから給料渡したいのだが、この世界は、売上げが一番。それは、分かってるよな?』


 店のオーナーが話す。


「もちろんです。ホストは続けたいのですがこの給料だと・・・」

『だろ?で、俺が思った事なんやけどジミーは男性ウケいいだろ?それでうちの系列店のラウンジでボーイとして働かないか?もし良かったらって話だから・・・考えてみ』

「分かりました」

「少し考えさせてください」


 オーナーと話し合いが終わり一週間程、ジミーは悩んだ。


 そして、結論を出す。


 "来月の誕生日までに、指名客取れなければホストを辞めラウンジのボーイをする”と。


 そして誕生日当日、ラストチャンス。


 変わらず、お店はいつも通りの営業・・・


“これが俺の実力か・・・”


 と、肩を落とす。


 すると、見るからにお嬢様って方と他店のナンバーワンホストが来店。


『ジミーって子いてるか?』

「あ!いらっしゃいませ。いつもキャッチ中はどうもです!」


 ジミーはキャッチ中、同業者に必ず挨拶するようにしていた。

 そうしているうちに同業者とも世間話する程の仲になった。


 その姿を見てよく思わない同じ店のホスト達もいたが、構わず同業者と話す。

 その中でたまたま挨拶したのが、目の前にいる他店のナンバーワンホストで鉄也であった。


『よぉ!なんか今日、ジミーの誕生日って聞いたからお祝いに来たよ』


 と、なんと男性客からのお祝い。


 初のホストとしての誕生日、店内にシャンパンコールが響き渡る。


 営業終了後、ジミーは思った。


 "俺のしてきたことは、本来の結果は出せなかったけど間違えてはなかった。ホストだけが夜王でない。もう一度、新たな仕事にチャレンジしてみたい”


 そう悟ったジミーはオーナーと話し合いする。


 そして、ホストを辞めてラウンジでボーイすることになる。

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