【Goodbye my hero】

ジミー

第一章 開幕戦

『さぁー!2023年全日本モトクロス選手権、開幕戦ここ広島県グリーンパーク弘楽園、国際A級クラスもファイナルラップとなりました。』


 MCよっちゃんの実況が爆音と共に響く


『先頭を走るのは、やはり前年度チャンピオンのトッチィー』


 トッチィーは、元世界GPライダーで活躍後その経験を生かし、2年前に全日本モトクロス選手権に復活後早速チャンピオンになる。


『続くニ番手では大島、Mr.チャンプと続く』


 大島は、18歳で国際A級に昇格し20年間プロライダーとして、全日本モトクロス選手権に出場している大ベテランライダー。


『そして、その後ろから数年前に引退し姿を消していたジミーが追いかけ』


 開幕戦いきなり4台のライダーがデットヒート!


『おっと、Mr.チャンプが大島を抜き最終コーナーへ』

『そしてインからMr.チャンプがトッチィーを抜きにかかる』


 熱いレースとなりMCよっちゃんが興奮しながら立ち上がり、


『さぁ、抜いた。抜いたぞ!』

『トッチィーを抜いてMr.チャンプがトップになった』


 最終コーナーでMr.チャンプが、前年度チャンピオン、トッチィーを抜く。


『そのまま逃げ、あぁ、トッチィーがバランスを崩しその隙に大島が抜く、そのままゴールイン』


 チェッカーフラッグが振られ、次々とゴールして行く。


『一位Mr.チャンプ、二位大島、三位トッチィー、四位ジミーそして五位六位とチェッカー』

『開幕戦から荒れたレースだぜ。今年のシリーズの行方が楽しみです』


 レースが終了し、六位までの入賞した各ライダーは、表彰式へ向かう。


 するとそこへ、


『復活そうそうやるな!流石ジミーやな』


 と、レース後Mr.チャンプがジミーに話しかける。


「Mr.チャンプのお声がけのお陰っすよ。次は負けませんから」

『ジミーが復活してまた、一緒にレース出来て嬉しいよ』


 彼が復活したのには、訳があった。


 実は、五年前にレースを引退し姿を消していた。


 一方で、三年前にMr.チャンプもレースを引退していた。

 当時契約していたチームが撤退してしまったからだ。


 他の新しいチームもスポンサーも見つからず引退を余儀なくされたのだが、レースが諦めれなかったMr.チャンプは、《YouTube》を始め、それが大ヒットし《YouTuber》へ・・・


 もともと美形ってことで、モトクロス界のアイドルとなりカワサキのファクトリーレーシングチームからオファーの話がかかり、前年度からレースに復帰する。


 そして、もっとレースを盛り上げられないのかと、当時のライバルであったジミーに《YouTube》の出演のオファーをしたのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る