ある女の献身
羽弦トリス
第1話出会い
その女性と知り合ったのはホントに偶然であった。僕は小説投稿サイトで2年間ほど活動し、ある程度の人気はあったが批判や酷評されてばかりで正直言うと、小説を書くことに辟易していた。
だが、違う小説投稿サイトで活動してみて、同じような小説の批判をされたら僕は筆を置こうと思った。
今から2年と半年前、今読めば恥ずかしいくらいのラブコメとエッセイの体をなしていないエッセイを投稿すると、そこそこ読んで頂いている数が増えてきた梅雨の最中、ある作者のエッセイと出会った。
「雨の中を歩く」と言うタイトルのエッセイを読んでみると、それはそれは素晴らしく感銘を受けた。
文章が“美しい“と思える作品に久々に出会った心地がした。
また、その作者の「独り言ノート」を読んでいると、作者は女性と推察した。
作者の名は、ブリュヴェール。
彼女は何やら引っ越しの最中で、手伝ってくれる人はいないらしい。
僕はコメント欄に、
「引っ越し大変そうですね。誰か助けてくれる人はいないのですか?」
と、書いた。
直ぐに返信はなかったが、しばらくして
「1人で運べるものは運んでいます」
と、返ってきた。
僕はブリュヴェールさんが、恋愛系の作品を多く書いているので、てっきり彼氏さんがいるのかと思っていた。
それが僕と
しばらくは小説投稿サイト内でのやり取りのみでの、まぁ、よく読み合いをする仲間になっていた。
そんなある日、彼女は僕にある提案を付き出した。
Twitterから電話番号を交換し、LINEで遣り取りしないか?と。
僕は快諾して直ぐにLINEの遣り取りが始まった。
彼女が泡盛の『青龍』が美味しいよ、と言うので酒屋でその泡盛を6000円もしたが買って来て通話しながら泡盛の飲み会を開いた。
しかし、僕はまだ彼女のプロフィールをちゃんと読んでいなかった。
そう、彼女は性同一性障害でMALE to FEMALEだったのだ。
僕には色んな知り合いがいるので、電話の相手が性同一性障害の当事者であることに何も驚く事もなかった。
こっちは、統合失調症で豚のような体格している。
嫁さんには、千茶の事を軽く紹介していたが、我々夫婦と子供は故あって別居している。
離婚前とか、そんな理由ではない。
円満別居なのだ。
だから、仕事がない日は昼間っから泡盛が飲めるのだ。
画して、ブリュヴェールさんこと千茶との交流が始まったのだ。
千茶とは、LINEの登録が千茶なので“せんちゃ“と呼ぶ事にしている。
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