ちっちゃな恋のあやめっち♪

ヤッキムン

幼稚園

ボクはロンドンで生まれたんだ~♪

テムズ川のほとりのブルーの可愛い家。

ベビーカーに乗ってママといっしょに、よく散歩している。そしたら、同じくベビーカーに乗ってる女の子と、よく、すれ違ったりする。それで、その女の子と目を合わせて笑っている。


ボクのママは日本人。

パパはフランス人。

ニース生まれのニース育ちだけど、ちっちゃい頃から日本のアニメを見て育ったから日本のアニメ大好き。だから日本のことも大好き。それで大学生の時に京都に留学していた。


ママは大阪に住んでいて、大阪の百貨店に勤めていた。パパはたまたま大阪の百貨店に買い物に行った時にママに出会った。パパの一目惚れ。ママを一目見た瞬間に恋に落ちたらしい。

ママは女子の下着売り場で働いていた。

パパはママに会うために、その下着売り場に何日も通って下着を買っていた。妹3人いて、そのプレゼントに買いに来たって、言ってたらしい。

何日もママから下着を買っていて、ある日、パパはママを来日していたブロードウェイのミュージカルに誘った。ママもアニメや映画やミュージカルなど、めっちゃ好きでよく観に行ってたから、ふたりは趣味もぴったり合っていた。

そして、そして...

そして結婚した。

就職して、ロンドン勤務になって、2人でロンドンで暮らしている時に、ボクは生まれた。


ボクの名前は、あやめ。

日本の花の名前から、付けられた。


家の近くには、さよりちゃんっていう日本人の女の子も住んでいる。

ボクよりも3つ年上の女の子。


ボクは、さよりんって呼んでいる。

さよりんはボクの家によく遊びに来る。

そして、赤ちゃんのボクのことをいつもギュッて抱きしめている。


いつも

「あやめっち~」

ってボクのことを呼んで、そして優しくギュッと抱きしめてくれる。


さよりんはボクのことを大好きみたい。

ママも

「さよりんは、あやめっちのこと、ほんまに好きなんやねぇ~」

って、よく言っている。


さよりんと手をつなぎながら、っていうか、さよりんに手をにぎってもらいながら、ちっちゃい頃のボクは、テムズ川沿いをよく、ふたりで散歩していた。

たまに、チャプンッて、お魚さんも飛び跳ねている。


お空を見上げたら、鳥さんたちも仲良く列になって飛んでいる。2羽や3羽とかで飛んでる鳥さんたちもいる。さよりんとボクみたいに、お空を散歩しているのかな~って思っている。


鳥さんたちは、テムズ川をみんなで泳いでいたりもする。川を泳いでいる鳥さんたちを見ると、空も飛べるのに、川でも泳いでてスゴいな~って思いながら見ている。

たまに、鳥さんたちは、川の中に、頭からチャプンッて、もぐったりもしている。

あーっ!お魚さんを食べに、川の中にもぐったのかな~って思う。お魚さんたち美味しいのかなー。


ある日、ママと大英博物館に行くために、大通りを渡ろうとして待っていた。

そしたら、横に、赤ちゃんを抱っこしたフランスのママさんもいた。

そのフランスのママさんは、ボクのママにフランス語で

「ロンドンの車はビュンビュン飛ばして走ってて、ちっちゃい子どもと渡るの大変ですよね~」

って話しかけてきた。

たぶん、ママとボクとで、その時、ちょっとフランス語でしゃべってたから、そのフランスのママさんも、フランス語でしゃべりかけてきたのかもしれない。

ママは

「うちの地元の大阪でも、車はビュンビュン走ってますけど、大阪の人はみんな、うまいこと渡ってますから、わたしも、まあ慣れてますけどねっ」

って答えていた。

「あっ?大阪なんですね?」

ってママさんは聞いていた。

「はいっ!でもロンドンも大阪も、中心はピーターラビットのいるような田園地帯ではないから、しょうがないですよね~」

「まあ、たしかにパリの中心もそうですね」

っていうような話をしながら、すきを見ながら、いっしょにササッと大通りを渡っていた。


「メルシーボークー!」

って、フランスのママさんはお礼を言っていた。

うちのママも

「おおきに!ありがとさんー」

って、大阪弁で答えていた。

そして

「おおきに!っていうのは、英語のベリーマッチ、フランス語のボークーといっしょの意味の『おおいに』って言葉からきてるんですよ~」

って説明していた。

フランス語のママさんも

「あっ!そうなんですか~。じゃあ、おおきに!ありがとさんー」

って答えている。

ボクは赤ちゃんに

「バイバ~イ」

って手をふった。

赤ちゃんもボクに

「バイバ~イ」

って手をふってくれていた。


ボクはピアノを習いはじめた。

まわりみんな女の子ばっかりだった。

10数人の教室。

ピアノの先生は、普段は優しいのに、ピアノの練習になると、めっちゃきびしい。

ボクの弾いてる時も、きびしくボクのことを見ている。

そんな時、ボクの斜め前の席に座ってる女の子は、ボクのことをいつも前からチラッと見ながら応援してくれているのを感じている。

ピアノも買ったから、家でも毎日練習している。


幼稚園に入ったら、ピアノ教室でいつも斜め前に座って応援してくれてる女の子もいっしょに来ていた。

「あーっ!あやめっちー」

ってボクを見て、すぐ言ってくれた。

「あっ!ジェニーちゃんだー」

ってボクも答えたら、めっちゃ喜んでくれて、ピョンピョン飛び跳ねている。

それから幼稚園で、いつもジェニーちゃんといっしょに過ごしている。


家にもジェニーちゃんは、よく遊びに来てくれる。いっしょに家でピアノの練習もしている。

さよりんもいる時は、3人でテムズ川のほとりを散歩している。


幼稚園のお遊戯会で、みんなで魔法使いになった。

ボクもジェニーちゃんといっしょに魔法少女ジェニアヤになった。

魔法少女の衣裳も作った。

衣裳の内側にちっちゃなぬいぐるみをいっぱい隠しておく。

そのために、鳥さんやクマさんなどの、ちっちゃなぬいぐるみも作った。


お遊戯会では

「パッとお手々をたたいたら~」

って歌いながら、衣裳の内側から、隠してあった、ちっちゃいぬいぐるみをパァーッと取り出した。

観に来てたママたちも

「ワォー!」

って、みんなびっくりして手をたたいている。


そのあと、ママとパパの仕事でパリに引っ越すことになった。

さよりんは小学1年生だけど、毎日ボクの家に来て、ボクのことをギュッと優しく抱きしめてくれた。

「あやめっち~」

って言って、いつまでもずっと優しく抱きしめてくれていた。

それからテムズ川沿いをさよりんと手をつないで歩いた。

歩いてる途中でも、さよりんはボクをギュッと抱きしめて

「うわ~ん!あやめっち~!」

って言っている。

家でも、さよりんは、ずっとボクを抱きしめてるので、ママも

「パリに行っても、また会えるよー」

って、さよりんに言ってる。

でも、さよりんは、ずっとボクのことを抱きしめている。


引っ越しの日、さよりんには、その日のことを連絡しなかった。ママに

「さよりん、めっちゃさびしがって、あやめっちを離さないだろうから、さよりんには言わないで行くね」

って言われた。

だから空港へお見送りに来たのはジェニーちゃんだけ。

ジェニーちゃんも、ボクのことギュッと抱きしめて

「あやめっち~!パリに行っても、ジェニーのこと忘れちゃだめだよー」

「うんっ!ジェニーちゃん、ありがとう!ジェニーちゃんのおかげでピアノ教室も楽しかったー」

「うわ~ん!バイバ~イ!またね~!」

「バイバ~イ!ジェニーちゃん!またね~!」

飛行機はロンドンからパリへと旅立った。


パリに行って幼稚園に入った。

幼稚園で、マーリアちゃんっていう女の子と、めっちゃ仲良しになった。

マーリアちゃんは、いつも

「あやめっちのおよめさんになるーっ」

って言ってる。


マーリアちゃんとオルセー美術館によく行く。

「ヴィーナス誕生」の絵を2人で観に行く。

カバネルさん、ブーグローさんっていう画家の描いた絵。


幼稚園でもボクは女の子みたいなので、マーリアちゃんと2人でいても、女の子2人の友達みたいに見えてるはずだ。

ボクはピンクをめっちゃ好きなので、幼稚園にもピンクのバックで行ってる。

幼稚園のみんなにも、ボクのピンクのバック、めっちゃ人気ある!

みんな

「あやめっちのバック可愛い~」

って言ってくれている。

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