銀河星人の待つ孤島――惑乱の人➁――
せとかぜ染鞠
第1話 流星運送四国本社総務部長堺ジェヌニーダ
冷笑と失笑と苦笑に追われながら試験会場を逃げだした僕は,4 0 歳ぐらいの 会社員に声をかけられた。「先程の面接はひどかった。人事の教育を見直すよう必ず伝えますので――私,こういう者です」と名刺をさしだす。「
「再チャレンジを支援する――それがうちのモットーです。都心での御就職にこだわられますか?」
誰かに名前を呼ばれた。陸橋歩道の上からだ。着物姿にもかかわらず軽快な足どりで駆けてくる。
「是非連絡していらっしゃい。よい御縁のありますように――」堺は念押しするみたいな目礼を残し立ちさった。
いれかわりに 髪を結いあげた 和装美人が話しかけてくる。「
「戻ってきなさい――事情は知らない。でもね,突然姿を見せなくなって随分心配したのよ」
僕の無断退職した事情を,未知瑠は知っている。何故なら僕を彼のもとへ行かせたのは彼女なのだから。そのせいで僕は深い傷を負った。
スーツを着た教え子の就職活動を看取した未知瑠は,根掘り葉掘り質問ぜめにして流星運送の社名を聞くなり,ブラック企業だからやめておけと忠告した。その後,巧みな会話術にはまり,僕は身を寄せる幼馴染みのマンションの住所表示まで教えてしまった。
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