第19回「きらきら」:芯としてあるもの

 姉さんは、いつだってキラキラしていた。

 明るい髪色、淡いビンクの唇、明るい色で塗られたつやつやの爪。


 派手なアクセサリーに頼らずとも、姉さんはとても目立って見えた。輝いて見えた。


 そんな姉さんが羨ましくて、そんな姉さんに憧れて、自分なりに姉さんを真似てみた。

 髪を伸ばして染めて、唇には色つきリップ、磨いた爪にはプチプラのマニキュア。


 姉さんを真似れば真似るほど、周りの人は離れていったけれど、姉さんだけは褒めてくれた。細くなっていく手で撫でて「キラキラしてるねえ」って笑ってくれた。



「そうしてできたのが、今のボクって訳」



 憧れていた姉さんは、もういない。

 でも今でもキラキラはボクという人間の芯であり続けている。




【了】

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