🔳籠賀 瑛子(オメガ)

🔳初登場

「女なら帰らせましたよ」

 ルームサービスを頼みかけた浪馬を制したのは、執事然とした女の声だった。

 浴室の方向から現れたのは、黒のパンツスーツに身を包んだ痩身の女性だ。腫れあがったまぶた蝦蟇がまのような目。口元は黒マスクに隠されているが、怖いもの見たさが裸足で逃げ出すような異形である。

「うおっ、来てやがッたのかよ、オメガ!」 

                 ──【前幕】畔 蓮葉 VS 八百万 浪馬 其の三


🔳プロフィール

 籠賀こめが 瑛子えいこ、三十歳。《醜女衆》の隊長であり、浪馬の後見役である彼女を、浪馬はのあだ名で呼ぶ。

 《醜女衆》とは八百万の当主、八百万 暁馬子飼いの異色組織である。人並外れた才能を有するも、人並外れた容姿から正当な評価を受けられない、そんな女性を破格の報酬で集めた、まさに実力主義の集団だ。そんな彼女たちが何故、浪馬の世話役を任されたのか。その経緯は不明だが、並みの女性であれば、容易く浪馬に篭絡されただろうことは間違いない。

                 ──【前幕】畔 蓮葉 VS 八百万 浪馬 其の三


■浪馬のサポート係

「浪馬さまの生活のサポートが、私の仕事ですので」 

「オレのサポートだってンなら、オレの都合を優先しやがれ」

「《醜女しこめ衆》の雇用主は浪馬さまでなく、暁馬ぎょうまさまですから。

 我々を引き抜くだけの甲斐性が、浪馬さまにあれば別ですが」

                 ──【前幕】畔 蓮葉 VS 八百万 浪馬 其の三


■浪馬の扱いが上手い

「お言葉ですが、浪馬さまの緒戦の相手は、あの畔 蓮葉です。

 候補者最強とも噂される……興味がおありでは?」

 強調が功を奏してか、浪馬は尖った口端を緩めた。

「……ま、ねーと言やーウソになるがヨ」

「それではお座りください」

                 ──【前幕】畔 蓮葉 VS 八百万 浪馬 其の三


■浪馬をよく知る

・二人のつきあいは長い


「……懸念はもう一つございます。

 浪馬さまは女性と闘った経験がございません。

 異性相手に全力を尽くせるのかどうか。

 そもそも浪馬さまにとって、畔は……」

「あー、そりャまあ、確かにな」


「わーってるッつーの。

 女扱いしなきゃいーんだろ? オマエみてーに」

「そういうことです」

「皮肉も通用しねーのかヨ」

                 ──【前幕】畔 蓮葉 VS 八百万 浪馬 其の三



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