┣人物・浪馬【二幕】

🔳性格

■調査嫌い

・出たとこ勝負の実戦派


「まーたソレかヨ。どうでもいいってんだろ。

 バトルってのは、何が起こるかわかンねーから面白いんだヨ。

 相手をチマチマ調べたり弱点探ったり、弱い奴がやりャあいい。

 オレぁゴメンだね」

                 ──【前幕】畔 蓮葉 VS 八百万 浪馬 其の三


■父との確執

「──

 底冷えする一言に、オメガは思わず息を止めた。

「オレを勘当したのも代表に選んだのも、全部クソ親父の勝手だろーが。

 結果をどうこう言われる筋合いは、これッぽちもありゃしねエ。

 面白けりゃるし、つまらねーなら帰る。

 《天覧試合》を引き受けた時、オレはそう言ったはずだぜ?

 文句があンならてめーがやれって、あのクソ親父に伝えとけ!!」

                 ──【前幕】畔 蓮葉 VS 八百万 浪馬 其の三


■女に強そうで弱い

「……懸念はもう一つございます。

 浪馬さまは女性と闘った経験がございません。

 異性相手に全力を尽くせるのかどうか。

 そもそも浪馬さまにとって、畔は……」

「あー、そりャまあ、確かにな」

 ころりと表情を変え、若者はうなずいた。

「魚々島にはテキトー言ったけどヨ。

 ぶっちゃけそればッかりは、やッてみなけりゃわかンねエ。

 ま、何とかなんじゃね? 死にさえしなきゃ治せンだし。

 新たな性癖に目覚めるかもしンねーし」

「浪馬さまは、女に強そうで弱いですから」

                 ──【前幕】畔 蓮葉 VS 八百万 浪馬 其の三


■クソ度胸

・蓮葉にすら物怖じしない。


「おまえ……マジでアレとるつもりなんか?」

 人ならぬ者を体感した文殊の偽らざる本音は、豪快に笑い飛ばされた。

「おめーバカかよ文殊! 当ったり前だッつーの。

 ワンチャン、蓮葉ちゃんをゲットできっかもしンねーだゼ?」

 文殊はぽかんと口を開けた。

 この圧倒的軽さを、よもや尊敬する日が来ようとは。

                 ──【前幕】畔 蓮葉 VS 八百万 浪馬 其の五


■ジャイアントキリング

「あんた、負けフラグ立てるのが趣味なの?」

負けフラグそいつをへし折るのが趣味なんだヨ」

                 ──【前幕】畔 蓮葉 VS 八百万 浪馬 其の五


■狂気の闘志

・片目を潰されても臆さない。まさにバトルジャンキー。


「へ……へへ……

 まァーだ楽しませてくれるッてか、蓮葉ちゃんヨォオ!」 

 突然、片目を奪われながら、浪馬の火勢に衰えはない。

 いやさ、予想外の反撃を燃料に、さらなる炎を巻き上げる。

                 ──【二幕】畔 蓮葉 VS 八百万 浪馬 其の六


■英雄的クソ度胸

「そっちこそ、ビビってンじゃねーゾ、文殊ゥ。

 目玉の数じャあ、オレの方が有利だッつーの。

 ドクガンリュー浪馬様の妖怪退治はこれからだゼ?」

 文殊は驚いた。浪馬は本気だ。大真面目だ。

 この期に及んで、恐怖どころか気後れ一つ覚えないとは。

 馬鹿を通り越して、もはや英雄めいたクソ度胸である。

                 ──【二幕】畔 蓮葉 VS 八百万 浪馬 其の七


■初ダメージ

 破れ目はほとんどが体の前面だった。浪馬は頭から壁に突っ込み、バイクはその真下で大破した。壁との衝突こそ《鯰法》で凌いだものの、至近距離で瓦礫と破片の散弾を浴びたのだ。傷こそ浅いが、打撲は馬鹿にならない。特に右脇腹の被弾は、燃えるような熱を帯びている。

 濡れた髪を掻き上げた浪馬は、肋骨に走る激痛に歯を剥いて笑った。生まれて初めての骨折だった。

                 ──【二幕】畔 蓮葉 VS 八百万 浪馬 其の八


■偉大な馬鹿

「蓮葉ちゃんよォ。

 オメーもしかして、メチャクチャえーのか?」

 真面目な顔で問う浪馬に、観衆がざわめいた。

 これが試合当事者の認識とは。バケモノ呼ばわりもしたはずだが、浪馬的には同格か、同格くらいに思っていたらしい。

                 ──【二幕】畔 蓮葉 VS 八百万 浪馬 其の八


■浪馬という男

 平然とする浪馬が、腑に落ちなかった。

 浪馬も文殊も元族のバイク乗りである。世間から忌み嫌われる暴走族だが、だからこそ仲間とバイクを大事にする。特に愛機は相棒にも等しい。バイクを理由に喧嘩や抗争が生じるのも珍しい話ではない。

 そんなバイク乗りが──ましてあの浪馬が、目の前でバイクをにされて、気にした素振りもない。

 文殊には、それが気に障った。

 金持ち故に執着がないのか、槍と同じで消耗品扱いか。感傷に囚われないのは武人として正しい姿だろうが、バイク乗りとしては酷薄に感じた。

 そんな疑念を払ったのは、ふとした浪馬の仕草だった。

 ライダースーツの被弾は、書き込まれた寄せ書きにも及んでいる。その幾つかは切り裂かれ、文字が読めない有様だ。

 チーム解散の折り、《天覧試合》の話を聞いた仲間が書いてくれたと話していた。

「オレが負けるワケねーだろ」と笑い飛ばしたとも。

 傷ついた寄せ書きメッセージの一つに、浪馬の指先が触れる。

 漏れたつぶやきは聞こえない。けれど表情を見ればわかる。

 無頼だが、それだけではない。

 それが浪馬という男なのだと──文殊は初めて知った。

                 ──【二幕】畔 蓮葉 VS 八百万 浪馬 其の九


■死を厭わぬ男

「──《必至》あり! 勝負あり!」

 忍野が決着を宣言したのは、至極まっとうな判断である。

 だがしかし。それを不服とする者が唯一人ただひとり

「ガボッ……《異議》……アリだ……ッ!

 ……クソ……ガボッ……忍野……がヨ……ッ!」

 首を鮮血に染め、口に泡を浮かべ抗議したのは。

 ──あろうことか、瀕死の浪馬自身だった。  

                 ──【二幕】畔 蓮葉 VS 八百万 浪馬 其の十

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