┣プロフィール・烏京【幕間】

🔳松羽流について

■諜報は弱い

「オレについては、そこそこ調べてたじゃねーか」

「──でしかなかった。

 事前に《神風》候補として絞り込めたのは、貴様ら兄妹のみ。

 時間も金も限られ、調べは不十分だった。

 オレの敗因は──そこにもある」


「しかし、わかりませんね。

 暗殺に特化していても、諜報は必要です。

 組織ぐるみで使ってる情報筋があるはずでは。

 それで何故、調査がそこそこなんです?」

 青沼の問いに、烏京が嘆息した。

「──総帥の差配だ。

 この《天覧試合》に於いて、松羽流の協力は得られない。

 組織に頼らず、個人の力量で勝利せよ、とな。

 故に情報屋はオレ個人が雇った──を引いたがな」

「はははぁ。なるほどね」

 洋は得心した。妙に調べが雑だと思っていたが、そういうことか。

                   ──【幕間】魚々島同盟  ー手札交換ー


■資金もない

「でも、金はあるんだろ?

 今からでも調査に回せば、情報ぐらい……」

「ない」

「……今、なんつった?」

ふところは寒い──そう言ったんだ」 

「松羽流屈指の暗殺者が、なんで無一文なんだよ。

 松羽流屈指のニートだったってオチか?」


「青葉流で一番の稼ぎ頭は、間違いなく──オレだ。

 だが、稼ぎはほとんどは上納され、オレの手には残らない」

「上前をねられるわけか。面倒なもんだな」

「──組織とは、粗方そのようなものだ」

「元手ゼロで実績上げてこいって、無茶すぎんだろ。

 表社会なら、確実にブラックだぞそれ」

                   ──【幕間】魚々島同盟  ー手札交換ー

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る