🔳┳容姿、服装と武器・烏京

🔳容姿、服装

■始まりの儀


「──松羽まつば 烏京うきょう

「ここに」

 黒衣をまとった痩躯が、襟巻の下でつぶやく。その手足はアンバランスな案山子かかしのように長く、幅広の両袖がぶら下がっている。内に秘めた両手に何を握っているかは不明だ。

              ──【開幕】《神風天覧試合》、始まりの儀 其の五


 190近い長身痩躯にひょろ長い手足。目元以外を覆った黒装束。両の袖は不自然に大きく、蝙蝠こうもりの黒い皮膜を思わせる。

              ──【開幕】《神風天覧試合》、始まりの儀 其の六


■一幕(vs洋)


 こうもり傘を思わせる黒衣の長身を折り曲げ、京都御苑の砂利道へ両手を伸ばす。人並外れて長い腕は、さして腰を曲げる必要なく、その手を地面に到達せしめた。膨らんだ袖に手元は隠れたままだが、いわゆる立位体前屈だ。

                     ──【一幕】魚々島 洋 VS 松羽 烏京


■袋袖の秘密

「そのデカい袖は握りを隠すだけじゃない。

 投げ技に最適な弾を造り出す、工廠こうしょうでもあるわけだ」

                 ──【一幕】魚々島 洋 VS 松羽 烏京 其の五


■覆帯

・口元を覆う、マフラー状の帯布。烏京のトレードマーク。

 かなりの長さがあり、包帯代わりにも用いる。


口元の覆帯を外し、鼻を強く縛る。

                 ──【一幕】魚々島 洋 VS 松羽 烏京 其の八


🔳武器:投擲物

万物を投擲に用いる流派のため、特定の得物は少ない。


■石手裏剣

VS洋で使用。

申し出たハンデのため、玉砂利を松脂で加工してある。

棒型と平型の二種類が存在する。


 血に塗れたそれは、細く、奇妙なオブジェだった。

 材料は玉砂利。粒を揃え、中指程の棒状に固められている。砂利を繋ぐ黄色い物質は、パテか接着剤のようだ。形状と重みは単三電池を思わせる。

「棒手裏剣ならぬ、石手裏剣か」

                 ──【一幕】魚々島 洋 VS 松羽 烏京 其の四


 異なるのは、弾と軌道だ。

 平型手裏剣。棒手裏剣についする平たい形状で、忍者の代名詞として有名な武器だ。当然、礫を松脂で繋いで作られた《石手裏剣》だが、その凄まじい回転は、玉石に刃の切れ味を、軌道に立体的な変化を与えている。

                 ──【一幕】魚々島 洋 VS 松羽 烏京 其の五


■苦無

・一幕では誇り故に未使用。


 まだ震える手で懐を探り、烏京は苦無クナイを取り出した。

 通常、苦無に刃はないが、これは作業用に刃をつけたものだ。

                 ──【一幕】魚々島 洋 VS 松羽 烏京 其の十


🔳アイテム

■松脂

袖に秘めた加工素材の一つ。


「この黄色いのは?」

松脂まつやにでしょ。匂いがそうだし。

 ただの松脂じゃなさそうだけど」

「ちょっと待て。

 あいつ、石だけで戦うとか言ってたよな」

「……加工しないとは言っていない」

                 ──【一幕】魚々島 洋 VS 松羽 烏京 其の四


「投擲のかなめにある。

 どんな名投手だって、すべすべのボールじゃまともに投げられない。

 野球で滑り止めに使うロージンバック、ロージンてのは松脂のことだ。

 だが、度の過ぎる滑り止めはゲームを壊す。昔のメジャーにゃ球に唾をつけたり、ヤスリを隠し持った名投手がゴロゴロいたそうだが、今じゃ全部反則だ。

 唾や傷程度でも、これだけの差が出る。

 投げの天才が、自分専用の滑り止めを使えばどうなるか──?

 それが、おまえさんの神技の秘密だ」

 烏京は表情を変えない。反論もない。

「ついでの推理だが、松脂には種類があると見た。

 《独楽打ち》と《竈門打ち》で、同じ松脂を使ってるはずがねえ。

 石を加工した瞬間接着剤みたいな松脂も別だ。

 複数用意してるのか、粘度を調整してるのかまではわからねえが」

                 ──【一幕】魚々島 洋 VS 松羽 烏京 其の五

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