┣人間関係・烏京【幕間】


人間関係。


🔳洋

■同盟

「《天覧試合》にあたって、協調の必要を痛感した。

 魚々島 洋──貴様と同盟を結びたい」

                ──【幕間】魚々島 洋  ー千客万来ー 其の五


「まーさか、オレらを暗殺しようってハラじゃねーよな?」

 覆帯越しに、烏京が傲然と笑った。

「だったら──どうする?」

「ま、それもアリか」

 洋も不敵に笑い返す。

 二つの手が、固く結ばれる。


「「──同盟成立、だな」」

                ──【幕間】魚々島 洋  ー千客万来ー 其の五


■騙されて同居

「──今、何と言った?」

「何って。住むんだろ、ここに」

「そんな取り決めを交わした覚えはないが!?」 

「おいおい、冷静に考えてみろよ、烏京。

 外部の襲撃を想定するなら、一番安全なのはここだぜ。

 なんせ候補者三人が寝泊まりしてる。警戒網も戦力も三倍だ。

 修行相手にゃ事欠かねえし、三食昼寝も保障されてる。

 どうせ宿なんてねーんだろ?

 かなりの優良物件だと思うぜー、ここは」 

                ──【幕間】魚々島 洋  ー千客万来ー 其の五


「──くそったれ」

 どうやら、とんでもない兄妹と組んでしまったらしい。

                ──【幕間】魚々島 洋  ー千客万来ー 其の五


■情報共有

「同盟を組んだ以上、必要な情報は共有する。

 それでいいよな、烏京?」

「構わん──が、オレの持つ情報はごく限られる。

 松羽流は忍ではなく、暗殺に特化しているからな」

                   ──【幕間】魚々島同盟  ー手札交換ー


■兄妹の諜報事情を聞く

「ちっと理由があってな。

 畔から追放されかけてんだよ、蓮葉は。

 だから、畔の情報網は利用できない……もちろんオレもな」

「つまり──この同盟の情報源は、本当にこの男一人というわけか」 

「そういうこと。当てが外れたか?」

「──そのザマで、よくオレをそしれたものだ」

               ──【幕間】魚々島同盟  ー手札交換ー 其の二


■良好な関係?

「フン──豚風情が、人間様に忠告とはな」

 毒づく烏京だが、表情はそうでもない。

 自然と口元が緩むのを、青沼は感じた。

 いさかいは多いが、認めるべきは認め合う。案外、この同盟は長続きしそうだ。

               ──【幕間】魚々島同盟  ー手札交換ー 其の三



🔳蓮葉

■格上と認める

「──松羽は山の民だ。畔がどんな存在か、よく知っている。

 認めたくはないが、あの畔はオレの遥か上──だ」

 洋はにやりとした。この男、やはり馬鹿ではない。

「たとえ同盟を組もうと、畔に勝ちを譲るつもりはない。

 情報を探り、弱点を探し──全力で試合う所存だ。

 だが、勝敗の結果が変わることは、おそらくない。

 ──貴様もわかっているはずだ」

                ──【幕間】魚々島 洋  ー千客万来ー 其の五


■無視

 熱いコーヒーを口にしながら、烏京は肌寒さを感じた。

 確かに完璧な笑顔だ──同席する自分が、その瞳に映っていないことを除くなら。

 無視ではない。完全に眼中から外されている。

                ──【幕間】魚々島 洋  ー千客万来ー 其の五


 兄に促され、妹がようやく烏京を認識する。

 敵意も興味もない平坦な瞳に、言い知れぬ戦慄を覚えた。

 山の民である烏京にとって、野生動物は見慣れた獲物である。鹿も熊も、数知れず獲って来た。この眼は、それらと似て非なるものだ。猛獣など比べ物にならない、未知数の危険だ──

                ──【幕間】魚々島 洋  ー千客万来ー 其の五


■雌虎

「放し飼いのと住めだと──?」 

                ──【幕間】魚々島 洋  ー千客万来ー 其の五


■忘却癖を知る

「ああ、言ってなかったな。

 蓮葉は何かと忘れっぽいんだ。あまり気にしないでやってくれ」

「──なんだ、その痴呆老人のような話は」

「滅多なこと言うなよ。日常生活には差し支えない」

「──オレの安全に差し支えるんだが?」

「忘れられないよう、がんばるこった」

               ──【幕間】魚々島同盟  ー手札交換ー 其の四



🔳浪馬

・実力より背後の組織を警戒。

「──甘いな。オレは最初から奴を危険視していた」

「マジかよ。そこまでの腕か?」

「腕の話じゃない──背後の組織力をだ。

               ──【幕間】魚々島同盟  ー手札交換ー 其の四



🔳青沼

・裏世界の住人らしからぬ雰囲気を感じる。


 青沼の屈託ない笑みに、烏京は眉をひそめる。

 丸眼鏡に口ひげ。痩せ肩にコートを引っ掛けた、どこにでもいそうな中年男だ。

 引っ掛かったのは、その笑みである。

 裏世界に精通する烏京は知っている。この世界の住人は、多かれ少なかれ陰を帯びるものだ。例外はズブの素人か、詐欺師に限られる。

 ──本業が別にあるが故の前者、か。

                   ──【幕間】魚々島同盟  ー拇戦遊戯ー

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