🔳┳容姿、服装、武器・荒楠

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■始まりの儀


「──最寄もよろ 荒楠あれくす

「はい」

 六名で最大、全人類でも上位に入るであろう巨人だが、返答したのは傍らの少女だった。熊革の鎧と熊の頭骨の仮面で覆われ、男の顔は窺えない。長い白髭が物語る老齢を、切り立つ筋肉が否定する。手には大槌。いわおもかくやという超重の鈍器を提げている。

              ──【開幕】《神風天覧試合》、始まりの儀 其の五


 残る一人──いや二人組の最寄もよろ 荒楠あれくすは、沈黙を貫いている。烏京を上回る2メートル越えの上背に、洋に並ぶ横幅を誇る、正真正銘の巨人である。熊皮の鎧、骨製の仮面で完全武装しており年齢が読めないが、仮面の下から首元まで伸びた白ヒゲを見るに、老齢らしい。

 だが、その筋量は明らかに老人のものではない。岩から削り出したような上腕二頭筋は、力をめぬ平時ですらダイナマイトを詰めた火薬箱を思わせる。得物であろう大槌も、持ち上げるだけで競技になりそうな代物だ。果たして、こんなものを振るい、そして当てられるのか。有効性は疑問だが、この肉体あらばこその武器には間違いない。

              ──【開幕】《神風天覧試合》、始まりの儀 其の六

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