🔳┳吉田 文殊

初登場。


🔳初登場

「おまえが普通やないのは、ようわかった」 

 膠着を破ったのは金髪の若者。《審判邪眼》の頭領、吉田だ。 

 誰何すいかの後、戦闘に加わる様子はなかったが、それには理由があった。

「けど、これは避けれんやろ?」

                ──【番外】魚々島 洋 —潜窟の夜— 其の二


■コンビニバイトになる

「族やめたとは聞いたが、ここでバイトしてるとはな。

 わりと似合ってんぜ、その制服」

 目つきと金髪こそ威圧的だが、文殊は細身で背丈も平均的だ。それでも緑を基調とする制服姿は、武闘派のリーダーと隔世かくせの感がある。

「ほっとけ。それで何の用や、おまえ」

                ──【幕間】魚々島 洋  ー千客万来ー 其の二


■洋との奇妙な友情

 ほっとする洋を揶揄する文殊の目は、どこか嬉しそうだった。 

 二人は親しいわけではない。一年戦い続けた、それだけの関係だ。

 けれど、ただの敵と味方でもない。

                ──【幕間】魚々島 洋  ー千客万来ー 其の二


🔳人間関係

■浪馬との知己

「バケモンなら、オレも一人知ってんで」

「へぇ?」

「昔、西に遠征行った時にやりおうた奴や。

 九州最強のデカいゾクの頭でな。

 チームのケンカはこっちが押してたが、最後にそいつが出てきた。

 あっちゅう間に蹴散らされたわ。策を考えるヒマもなかった。

 おまえと同レベルのバケモンやったで。名前は──」

「「八百万やおろず 浪馬ろうま」」

 絶句する文殊の手元から、灰が落ちる。

                ──【幕間】魚々島 洋  ー千客万来ー 其の二


■敵に気に入られる男

「顔見りゃわかる。

 その八百万とは、ダチなんだろ?

 ダチの情報ネタを売らせる気はねーよ」 

「ダチっつーか……

 負けた後、やけに気に入られただけで」 

「ははっ、オレと同じじゃねーか。

 ならなおさら、敵味方を決めちまうのは不味いだろ」

                ──【幕間】魚々島 洋  ー千客万来ー 其の二


■生まれる時代を間違えた男

「おまえは普通じゃないだろ。生まれる時代を間違えたタイプだ。

 戦国時代なら、ひとかどの軍師だったろうよ」

「持ち上げすぎや。

 確かにオレは、ゾクで天下取るのが夢やった。

 けど、おまえに負け続けて、器やないと痛感した。

 頭だけで勝てる世界やない、ってな」

                ──【幕間】魚々島 洋  ー千客万来ー 其の二


■チームを解散した理由

「おまえは強いやろ。エゲツナイくらい。

 腕っぷしだけやない。頭も鬼みたいに切れる。

 そのおまえが、オレに才能ある言うから、試したなってん。

 ゾクやめて、表社会カタギで、商売やってな。

 解散はそれが理由や……しょーもない話やろ」

                ──【幕間】魚々島 洋  ー千客万来ー 其の二


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