《神風》候補

魚々島 洋

🔳┳人物・洋

人物解説。

初登場。口調。異名。性格。特技。


🔳初登場

 対する個人は、丸々と肥えた小男だ。上下色違いのジャージをサスペンダーで吊った様子は、ハンプティ・ダンプティかカプセルトイか。顔立ちは凡庸だが、その目は少年のように炯々と輝いている。年の頃は二十代。

                  ──【序幕】魚々島 洋、畔 蓮葉と会遇する


🔳口調

・一人称は「オレ」。常に鷹揚な口ぶり。例外は妹関係。

 気障な台詞が目立つが、当人に自覚はない。


🔳異名

・《ガスタの鬼デブ》。本人はかなり嫌がっている。


「《ガスタの鬼デブ》ってのは、おまえか?」

 波の音を遮り、口を開いたのは背広の方だ。

 小男が苦笑交じりに応じる。

「そのあだ名、カッコ悪ぃからやめてくれ。

 オレは魚々島ととじま よう。確かにガソリンスタンガスタドをにしてるけどよ」

                  ──【序幕】魚々島 洋、畔 蓮葉と会遇する


🔳性格

■妹煩悩

「ああくそ。オレの服貸してやる。ちょっと待ってろ……

 違う、ここでじゃない。洗面所に戻れ!」

 ようやく引っ込んだ蓮葉の背中に、洋のため息が広がった。

「ラブコメでありますよね、こういう展開」

「だから、妹だってーの」

「しっかりお兄ちゃんしてると思いますがねえ」

                ──【序幕】魚々島 洋 —海と山と— 其の二


■女子供の庇護者

「言っとくが、今からやるのは修行を兼ねたオレの趣味だ。

 魚々島には《敵は魚と思え》って言葉があるが、こいつは敵ですらない。

 たまたま見かけた悪党、魚々島はもちろん畔だってはなも引っ掛けねえ奴だ。

 だが、オレは見過ごせねえ。

 女子供を狙うような連中がのさばってる、それだけで飯が不味くなる。

 だから潰す。それがオレ、魚々島 洋だ」

               ──【序幕】魚々島 洋、畔 蓮葉を調える 其の三


■美形は敵

「間違いねーよ。そっちが蓮葉だ」

 洋の対応は若干ぞんざいだ。顔面偏差値の差が影響しているかもしれない。

                        ──【序幕】選抜、魚々島 洋


■解説癖

「今のは《海蛍》でも際どかったぜ。気配も綺麗に消えてた。

 けど、技の組み立ては要工夫だな。

 小刀で注意を引くのは、あのレベルの突きには逆効果だ。かえって警戒される」

                    ──【序幕】選抜、魚々島 洋 其の三


■敵は魚

 魚々島じゃガキの頃から、『敵は魚と思え』って教えられんだ。

 人なんざ手足の生えたマグロってなもんだ。

 血も内蔵も毎日触ってりゃ慣れちまう。それが《魚々島》なんだよ」

                    ──【序幕】選抜、魚々島 洋 其の五


■殺す相手は選ぶ

「では、意に染まぬ者を手にかけたことは?」

「痛いとこ突くじゃねーか」

 忍野に合わせ向きを変えながら、洋は口角を歪めた。

「ねーよ。納得いかねえ殺しをすると、メシが不味くなんだ。

 悪党相手だけでも十分稼げたしな」

                    ──【序幕】選抜、魚々島 洋 其の六


■小賢しい系のデブ

「足りなきゃ知恵で補うさ。オレは小賢しい系のデブだからな。

                    ──【序幕】選抜、魚々島 洋 其の六


■逃げ場のない乗り物は避ける

 だが、もし敵に襲われた場合には、特急の方が選択肢は少なくなる。いざという時に逃げ場のない乗り物は、可能な限り避けるべきというのが洋の持論だった。

              ──【開幕】《神風天覧試合》、始まりの儀 其の三


■洋の制止で蓮葉は止まる

 それに収穫もあった。衆人環視の中でも、洋の制止で蓮葉は止められる。そうでなければ痴漢はおろか、車内は血の惨劇と化していたはずだ。蓮葉という怪物の鎖は、確かに洋の手に握られている。

              ──【開幕】《神風天覧試合》、始まりの儀 其の三


■勝利より情報

・蓮葉のサポートを申し出るが、断られる。


「蓮葉、おまえはオレより強い。ちいと悔しいがな。

 だからオレは、おまえのサポートに回る。おまえの優勝のために動く。

 確実に《神風》を狙うなら、これが一番だとオレは思う」

 蓮葉が、目を見開いた。 

「お兄ちゃんは……勝ちたくないの?」

「そりゃあ勝ちたいさ。オレはこう見えて負けず嫌いなんだぜ?

 ただ、オレにはおかに上がった目的がある。

 死んだ兄貴の情報を探してるんだ。《神風》になれば、それが手に入る。

 試合で勝たなくても、《神風》になれれば、オレはそれでいい」

              ──【開幕】《神風天覧試合》、始まりの儀 其の三


■兄への思い

「そうだよ。おまえの兄貴でもある。

 名前はこう。魚々島最強って言われてたよ。

 まあ、陸で死んじまったんだけどな。生きてりゃ、きっと……」

 喉が錆びついたように、言葉がそこで止まった。

 我ながら驚いた。慌てて蓮葉から目を逸らす。

              ──【開幕】《神風天覧試合》、始まりの儀 其の三


🔳特技

■釣りが得意

「これを全て、洋殿が?」

 思わず訊ねた。朝だけの釣果にしては破格にすぎる。

「オレは魚々島だぜ? 魚の声くらい聞けるさ」

                         ──【序幕】選抜、畔 蓮葉


■魚料理が得意

 蘊蓄うんちくを披露しながら頭を落とし、みるみる三枚におろしていく。職人さながらの見事な手際は、流石の魚々島である。

                         ──【序幕】選抜、畔 蓮葉



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