第26話 マリーヌ
それから1週間後、俺はグリンダムの町に買い物にきていた。
だが俺がグリンダムの町に来るといつもある問題が起こってしまうのだ。
俺がグリンダムの町を歩くと、すぐに女子達に取り囲まれてしまうのだ。
俺はキャーキャー騒がれるのは最初だけでじきにその熱も下がっていくだろうと思っていたのだが、甘かった。
俺を取り囲む女の子の数は前より増えていっているように見えた。
もう俺が一人で普通にグリンダムの町を歩くのは不可能になっていた。
仕方がないので透明魔法のスケルトンを使って町の中を歩く事にしているのだが、これを使うと姿を消せるが同時に買い物もできなくなってしまうので誰かと一緒に買い物に行かなければならなかった。
俺はとある人物と買い物にやってきたのだった。
すると魔法石を売っているお店からマリーヌが出てきたのだった。
マリーヌは俺の前までやってくると、笑顔で俺に紙袋を渡してくれた。
「お待たせしました、ジャンさん。赤い魔法石を買ってきました。」
俺はマリーヌから紙袋を受け取りながら言った。
「すまないな、マリーヌ、お使いを頼んじゃって。」
マリーヌが嬉しそうに俺に言った。
「いえジャンさんとこうして一緒にお出かけできるなんてとっても嬉しいです。」
「ナタリーやミリアさんに頼もうって思ってたんだけど、二人ともいなくてな。」
「へえー、そうだったんですね。」
一方その頃少し離れた場所にジャンとマリーヌを凝視する二人の女子がいた。
「まったく私を騙して愛しのジャン君を奪おうだなんていい根性してるじゃないのあの子。」
「マリーヌちゃんに呼ばれて冒険者ギルドに行ったけど、でも肝心のマリーヌちゃんがどこにもいないんだもん。しかも全然戻ってこなかったもんね。」
凝視する二人はミリアとナタリーの二人だった。
ミリアとナタリーはマリーヌにグリンダムの冒険者ギルドに来て欲しいと呼ばれたので、出かけていったのだが冒険者ギルドに行っていくら待っても肝心のマリーヌが現れなかったのだった。
ミリアは望遠魔法のスコープでジャンとマリーヌが仲良くしているのを覗いているのだった。
「まさかマリーヌちゃんが私達を嵌めてくるなんてね。見事に二人とも引っかかっちゃったわね。もうナタリーが私を信用してくれないからよ。私がどこに行くにもついてきちゃうんだから。」
「だってお姉ちゃんすぐジャンを誘惑するじゃん。」
「誘惑じゃないわナタリー、私はジャン君への愛を表現しているだけよ。私はジャン君を愛しているの。ジャン君のためなら私は何だってジャン君にしてあげるわ。」
「だから信用できないって言ってるの。」
「そんな事を言うなんてお姉ちゃん悲しいわ、昔はあれだけ仲良く暮らしてたじゃない。」
「だってお姉ちゃんがジャンに猛アタックしてくるなんて思わなかったんだもん。他の事はともかくジャンに関してだけはお姉ちゃんといえど信用できないの。お姉ちゃんを一人にしたら、ジャンに何するか分からないじゃん。」
「でもそこをマリーヌちゃんに付け込まれちゃったんでしょ?」
「うう、そうだけど。」
「今はマリーヌちゃんとジャン君の仲を進展させないことが重要よ。」
するとそこに突然ソフィアが現れたのだった。
「そうです。ジャン様とマリーヌちゃんと進展は絶対阻止しないといけません?」
ミリアとナタリーは突然現れたソフィアに驚いたのだった。
「ソフィアさん?なんでここに?」
「実はジャン様と一緒に過ごそうと狙ってたんですけど、マリーヌちゃんに先を越されちゃったんですよ。」
「ソフィアさん?ナタリー??今は一時休戦にしましょう?あなた達もジャン君がマリーヌちゃんに取られるのは嫌でしょ??」
「うん、分かった。」
「そうですね、私もマリーヌちゃんにはジャン様をさっさと諦めてほしいので。」
するとナタリーはジャンの方を見ながらミリアに尋ねた。
「どうする?お姉ちゃん?割って入ろっか?」
「この状況でいきなり私達が現れるのはさすがに不自然よ、だれか一人だけなら偶然を装う事もできるけど。ジャン君の事は私に任せてナタリーとソフィアさんがここで帰るんだったらそれでもいいけど?それでいい?」
「そんなのダメに決まってるでしょ。」
「そんなのありえません。」
「だったらこのまま離れた場所から見張り続けるしかないわ。」
「でもどうするの?お姉ちゃん??」
「要するにジャン君とマリーヌちゃんをいい雰囲気にさせなければいいのよ。」
「そうですね、マリーヌちゃんとジャン様をいい雰囲気にしなければ目的は達成できます。」
こうしてソフィアとミリアとナタリーはジャンとマリーヌの仲を発展させないために共闘する事になったのだった。
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