第23話 魔王討伐記念日
王宮の大広間に戻ったクレシーはホルキス国王であるヤードス国王を呼び出したのだった。
クレシーは相変わらずヤードス国王を25号と数字で呼んでいるのだった。
「25号、ちゃんと俺の装備品を磨いているか?」
「大勇者クレシー様、毎日クレシー様の装備品を磨かせて頂きありがとうございます。」
「うむ、いい返事だ25号。これからも精進する事だ。」
「はっ!!」
「それで大勇者クレシー様、今日は何か御用でしょうか?」
「2週間後にこの大勇者クレシー様の魔王討伐の記念日が迫っているのは知っているな。」
「はっ、存じております。」
「うむ、それに合わせて当日はこの大勇者クレシー様を祝福する事を認めてやろうと思ってな!!国民総出でこの大勇者クレシー様を祝福するように!!」
ヤードス国王はクレシーが何をしたいのかが分からなかった。
「大勇者クレシー様?それはどういう事ですか?」
「二ついい事を思いついたのだ。まず一つ目はこの大勇者クレシー様の銅像を作らせてやろうと思ってな。一人一台私の等身大の銅像を欲しいと皆が考えているだろう!!だからその日に限り特別な計らいとして全国民に私の等身大の銅像を作る事を許してやろうと思ってな!!」
「そして二つ目がこのクレシー様の為に感謝の踊りを捧げさせてやろうと思ってな。祝福となればやはり踊りが一番だろう。特別な計らいとしてこのクレシー様の為に1日中踊り続ける事を許してやろうと思ってな!!」
「あのう大勇者クレシー様?それは全国民がしなければならないのですか?」
「案ずるな25号、この大勇者クレシー様に感謝を示せるんだ、嫌がる人間は一人もいないに決まっている。まあありえないとは思うが、もししないやつがいたらそんなクズ野郎は地下牢に放り込んでやるだけだ!!」
「は、はあ。」
ヤードス国王は顔を引きつらせていた。
するとそこに一人の女子がやってきた。
ホルキス王国の第一王女であるテリーゼ・ホルキスであった。
テリーゼは鮮やかな金色のロングヘアーをしており、年齢は16歳だった。
とてもかわいい顔立ちをしており、胸もなかなか大きくスタイルの良い女子だった。
「大勇者クレシー様?少しよろしいでしょうか???冒険者ギルドに依頼したピーザス連峰のアークデーモン討伐依頼について少しお伺いしたいのですが?」
「アークデーモンの討伐依頼だと??」
「はい悪魔が住む山脈として恐れられているピーザス連峰に生息するアークデーモンを討伐する依頼をホルキス王家から冒険者ギルドに依頼しているのをご存じですよね?」
「それがなんだ??それならEランク冒険者を向かわせている。」
「さきほどピーザス連峰に向かったEランク冒険者達がその討伐依頼に失敗して逃げ帰ってきたようですが??」
「なんだと??」
「そのEランク冒険者達が衛兵の詰め所に逃げ込んできたのです。このままではクレシー様に殺されるから助けてくれと。」
クレシーが怒った様子で怒鳴ったのだった。
「あいつらこの大勇者クレシー様に泥を塗りやがって!!!」
「あの討伐依頼は難しい依頼でしたのでクレシー様自身にお願いしていたはずですが?」
クレシーは悪びれる様子もなくテリーゼにこう言い放ったのだった。
「はん、あんなくそ寒い場所にこの大勇者クレシー様が行くわけないだろうが、あんな汚い仕事は下級のEランク冒険者にでもやらせておけばいいんだ!!」
だがテリーゼもクレシーにひるむ事なくこう言い返すのだった。
「つまりクレシー様の判断ミスという事ですね。」
「失敗したのはこの大勇者クレシー様の責任ではないわ。仕事もろくにこなせないEランク冒険者のせいだろうが!!そもそもテメエがこんな難しいクエストを頼むから悪いんだろうが!!!こんなふざけたクエストを寄こしやがって!!!スライムの討伐依頼だけを寄こしやがれっといつも言ってるだろうが!!!」
「またスライム討伐で300万ティルを払えと??」
「そうだテメエらはスライムの討伐依頼だけを出してりゃいいんだよ!!」
「300万ティルがどれほどのぼったくりであるか理解されていますか?元々スライム討伐依頼の報酬は300ティルだったのですよ。簡単なスライムの討伐ならばそれほどの高額報酬を支払う理由はないと思いますが?」
「そんな事はどうでもいいんだ。お前らはスライムの討伐依頼で300万ティル支払わなければならないんだよ!!この大勇者クレシー様がそう決めたんだからな!!それがルールなんだよ!!」
「分かりました。では報酬のお話はここまでに致します。ですがクレシー様?クエストの選り好みをされては困ります。どのクエストも王国の人々の生活に直結するものも少なくないのです?」
「何度も言わせるな。スライムの討伐依頼しか受けぬと言っているだろうが!!」
「いいですかクレーシー様?あのクエストはあなたのせいで必要になったのですよ??」
「あん??俺のせいだと??」
「あれはもともと竜騎士団の任務の一つでした。ジャンさん達は何一つ文句も言わずに任務をこなしてくれていました。それに比べてクレシー様?あなたは選り好みをしたりこんなクエストできるかと文句を垂れてばっかりです。黙ってクエストをこなす事はできないのですか??」
クレシーがテリーゼを睨みつけたのだった。
「あん、じゃあなにか??まさかこの大勇者クレシー様のせいで仕事が増えたって言いたいのか??」
しかしテリーゼは一歩も引かなかった。
「もちろんその意味で言っております!!!」
「いいか!!竜にまたがる無能共は能無しなんだ。何もできない愚かな連中なんだ。あんな連中がいなくなれば仕事が減るに決まっているだろうが!!そんな事も分からないのか??」
「クレシー様の言われる通りにしたら、この王国が回らなくなっているのですよ??竜騎士の方々がやられていた仕事をクレシー様にお願いしたら、クエストもろくに果たせずに文句を言ってくる有様??竜騎士達の方々の代わりすら務まらないクレシー様が果たして有能であると言えるのですか??」
クレシーは完全に頭にきていた。
「貴様!!この大勇者クレシー様が無能だといいたいのか!!王女ふぜいが調子に乗るなよ!!この大勇者クレシー様の方が王女のおまえなんぞよりよっぽど偉いのだ!!!」
勇者クレシーはテリーゼに殴りかかろうとした。
するとヤードス国王が勇者クレシーのマントを引っ張りながらクレシーに言った。
「勇者クレシー様、お願いでございます。どうかテリーゼをお許しくださいませ!!!テリーゼも反省しておると思いますので。どうかお許しを!!!」
そういってヤードス国王はクレシーのマントをひっぱり続けた。
するとクレシーはバランスを崩してものの見事にずっこけたのだった。
ずっこけたクレシーは怒りに震えながら国王を睨みつけたのだった。
「25号よくもやってくれたな!!!国王ふぜいがこの大勇者クレシー様を転ばせやがって!!」
クレシーの怒りの矛先はテリーゼからヤードス国王へと移っていた。
「ふざけやがって!!!」
クレシーはヤードス国王を殴り始めた。
「身分をわきまえぬゴミめが!!!」
何度も何度もヤードス国王は殴られ踏みつけられた。
クレシーは国王に激しい暴行を加えたのだった。
国王が床に倒れ込んでしまった。
するとダリムス公爵もクレシーにこう言ったのだった。
「恐れながら大勇者クレシー様??テリーゼ姫の言われる事は最もですぞ??竜騎士達が無能だと言うのなら、せめてその仕事を代わりにこなしてもらわねば、口だけの男と侮られるのは当然の事かと。」
「あん??偉くなったもんだな48号??公爵ふぜいがこの勇者クレシー様に意見するのか!!」
「クレシー様?難易度の高いクエストを達成してから大口を叩いてもらえませんかな??」
「貴様言わせておけば!!!!」
マスタングがクレシーに言った。
「大勇者クレシー様こんな馬鹿共はほかっておけばよろしいでしょう!!こいつらは愚かすぎる故に大勇者クレシー様の偉大さが分からんのでしょう。こんな馬鹿共にかかわるだけ時間の無駄かと思われます。こんな奴らの為に大勇者クレシー様の貴重な時間を割いてやる必要はありますまい。」
「全くその通りだな35号。こんな馬鹿者どもはほかっておくべきだったな。」
「おい逃げ込んだEランク冒険者共はどこに隠れてやがる??」
みなが口をつぐんだ。
するとマスタングがクレシーにこう告げたのだった。
「応接室前の小部屋に隠れていると思います。さきほどその部屋でEランク冒険者共がウロチョロしているのを見ました。」
「よしそのEランク冒険者共の始末が終わったらそのまま冒険者ギルドに戻るぞ!!全くここの連中が腹が立つ。」
「はっ!!!」
そういうと勇者クレシー一行は大広間から出ていった。
少しして応接室の方角からすごい悲鳴が響いてきたのだった。
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