第20話 冒険者登録

翌日俺はソフィアやマリーヌと一緒に冒険者ギルドに登録するために、グリンダムの冒険者ギルドへとやってきていた。


「あれっ?冒険者の人達は誰もいないんだな。」


俺は広い冒険者ギルドの建物の中を見渡したが、ギルドの中には誰の姿も見当たらなかった。


「ちょっと今日はみんな出払ってまして。」


「ジャンさん、冒険者になってくれるんですよね。」


「ああクエストを受けられるのは基本的に冒険者だけだからな。魔物討伐を手伝うなら冒険者ギルドに登録しておいた方がいいからな。」


実は昨日ソフィアに会った時に、ラズバー大宮殿に放置されている大量の魔物達に困っているという話をもらったのだった。


それならば俺も手伝おうと考えたのだが、魔物討伐は基本的に冒険者が行う事になっているため、俺は冒険者登録をしようと思ってやってきたのだった。


ソフィアとマリーヌは目を輝かせていた。


「ジャン様が冒険者ギルドに登録してくれるなんて感激です。」


「これからはジャンさんと一緒にクエスト攻略できるんですね。」


「ソフィアやマリーヌとは仲良くやっていきたいからな。もちろんお邪魔でなければだが。」


「何を言われるんですか?そんな事はありえないです。ジャン様がこの冒険者ギルドに入って一緒のパーティーにいられるなんてこんな嬉しい事はありません。」


「そうです。ジャンさんと一緒のパーティでいられる、それだけでとっても幸せです。」


「ジャン様??立ち話もなんなので、座りませんか?」


「そうだな。」


俺達は近くのテーブル席に腰をおろした。


「ソフィア?冒険者のランクについて教えてくれないか?」


「はい、基本的に冒険者ギルドから出される依頼をこなしていくと、冒険者ランクを上げていく事ができます。依頼もこのランクによって受けれるものが変わってきます。自分の冒険者ランクをあげていくほど、受ける事のできる依頼の種類も多くなります。冒険者ランクにはFランクからSSランクまであります。冒険者登録した時は全員Fランクからとなります。申し訳ないんですがジャン様も初めはFランクからとなります。まあジャン様だったらすぐにSSランクになってしまうと思いますので。」


「Cランク以上の冒険者が一人前の冒険者として認められるんです。」


「分かった、それじゃあ冒険者登録を始めてくれるか?」


ソフィアが嬉しそうに俺に言った。


「はい、もちろんです。それではジャン様?まずは魔力測定を行います。」


「魔力測定か。」


するとソフィアはギルド奥のカウンターに向かうと、魔力測定器の水晶を持って戻ってきたのだった。


ソフィアは持ってきた魔力測定器の水晶をテーブルの上に置くと俺にこう言った。


「それではジャン様?魔力測定器にどちらかの手を触れてみてください。」


俺はソフィアに促されるまま魔力測定器へ右手を伸ばしたのだった。


すると魔力測定器の水晶がはじけ飛んでしまった。


するとソフィアが俺に驚いた顔で言った。


「す、すごすぎます!!まさか測定不能だなんて、こんなの初めて!!さすがジャン様!!」


「水晶がはじけ飛ぶなんて私も初めて見ました。さすがジャンさんです。」


ソフィアもマリーヌも測定不能にすごく驚いていたのだった。


「それはそんなにすごいのか?」


「はい、普通は水晶に魔力量が表示されるだけですので、測定しきれずに水晶がはじけ飛びなんて通常ではありえません。ジャン様の潜在魔力がずば抜けているんだと思います!!さすがジャン様です!!」


「はい、本当にすごいと思いますよ。」


ソフィアもマリーヌもとても驚いていたので、どうやらこれはかなりすごい事らしかった。


すると突然冒険者ギルドの出入口の扉が開いたのだった。


入ってきたのはナタリー達だった。


「ちょっとソフィアさん?ジャンを勝手に連れてったりしないでよ。」


「ジャン?冒険者ギルドに来てたんだね。」


「ああミーシャ、ソフィアが迎えにきてくれたからな。」


「ソフィアさん?あくまでも竜騎士団と冒険者ギルドとの協力関係を築く為にジャンが冒険者登録するだけだからね。そこの所は忘れないでね。」


「ナタリー?そこまで気にしなくていいだろう。ソフィアもマリーヌも知らない仲じゃないんだから。もうソフィアもマリーヌを俺達の大切な仲間だろう。」


「そうですよ、ナタリーさん、ジャン様の言われる通り、ジャン様と私はもう結ばれる関係なんです。そんな事を言わないでください。」


「ソフィアさん、ジャンさんはソフィアさんを大切な仲間としか言ってませんよ。」


気のせいだとは思うがソフィアとマリーヌとナタリーが火花を散らしているように見えたのだった。


すると再び冒険者ギルドの出入口の扉が勢いよく開いたのだった。


今度はたくさんの人々がギルドの中へと入ってきたのだった。


冒険者達がソフィアに言った。


「ちょっとソフィア?ジャン様が来るならちゃんと教えてよ!!」


「そうよ、ギルドのペンキの塗り替えをするから今日はギルドはお休みだなんて嘘を教えないでよ!!」


する冒険者達は俺の事を見つけると騒ぎ始めたのだった。


「キャー、本物のジャン様よ。」


「素敵!!やっぱり本物は違う。」


ソフィアが冒険者達に言った。


「あなた達にジャン様を合わせたら、私がジャン様を独占できないでしょ?」


するとソフィアが俺に言った。


「ジャン様!残りの手続きは外でやりましょう。」


俺はソフィアに促されて答えた。


「えっ??ああ。」


するとソフィアを俺の手をひぱってギルドの外に連れ出したのだった。


俺はソフィアを手を引かれながら冒険者ギルドを後にしたのだった。

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