第17話 事後処理
俺はそれからというものどこに行っても歓待尽くしの日々になっていた。
毎日あちこちの商会のパーティに呼ばれてはラズバーを倒した英雄として握手攻めにあっていた。
さらにはグリンダムの町の中を歩いただけで、女の子達にすぐに囲まれてキャーキャー騒がれる状態になってしまっていた。
今日も空き時間を見つけて町に買い物に出かけたら、女の子達に見つかってしまいすぐに女の子達に取り囲まれてサインをねだられるのだった。
「わああ、ジャン様、サインしてもらえますか?」
俺は渡された色紙にサインを書いて女の子達に渡したのだった。
「はいよ。」
俺からサインを受け取った女の子達は大喜びしていた。
「やったー、ジャン様ありがとうございます。」
「このサイン大事にしますね。」
すると女の子の一人が俺にこう言った。
「あのうジャン様??握手してくれませんか?」
「ああ、いいぞ。」
俺はその子に握手をした。
「リーゼルカずるい、ジャン様??私も握手してくれますか?」
「ああ、別にいいぞ。」
別の子からも握手をせがまれたので順々に握手をしていった。
「わああ、感激!!ジャン様と握手しちゃった。」
「憧れのジャン様と握手しちゃったよ、私どうしよう?」
その子達に握手し終わると、女の子達は俺に礼を言いながら離れていった。
俺がやれやれと安堵していると今度はさっきとは別の女の子達に見つかってしまったのだった。
「ジャ、ジャン様ですよね?」
「そうだけど?」
その女の子は嬉しそうに俺に言った。
「本物のジャン様だああ??サインください。」
他の女の子達も俺がジャンだと分かると騒ぎ出すのだった。
「ジャン様って本当に素敵。」
「本当にかっこいいよね。ジャン様。」
俺は町を歩けば女の子達に囲まれる日常になっていた。
俺はそれからぐったりして市庁舎の市長室にやってきたのだった。
ここにやってきたのは、団長と共にリール副市長と話しをするためであった。
市長室に入ると団長がすでに待っていた。
団長は俺が疲れているのが分かったようで俺にこう言った。
「ジャン?すっかり人気者じゃのう。また女の子達に囲まれておったのじゃろう?」
「団長、他人事みたいに言わないでください。結構大変なんですよ。」
「ワシも結構大変なんじゃぞ。あっちこっちで人に囲まれるからのう。まあお忍びで動く時は変装をするなり、幻術魔法で見える顔を変えればよかろうて。」
「これからはそうさせてもらいます。」
市長室でリール副市長を待っていると、少ししてリール副市長が現れた。
「英雄のジャン様?それにレティシア様、お待たせいたしました。」
「リール副市長までやめてください。みんなにジャン様ジャン様と呼ばれてすごく戸惑ってるんですよ。」
「ジャン様はグリンダムを救ってくれた英雄なのです。様付けぐらいは当然だと思いますよ。グリンダムを救って頂き本当にありがとうございました。」
「それではリール?まずはラズバーが倒されてからの情報を詳しく教えてくれんかのう?」
「はい、まずはラズバーを打倒された事で、ラズバーから奴が貯め込んでいた莫大な量の金貨を取り戻す事ができました。それを元手に冒険者達やギルド職員達へのギルド報酬や給料の支払を始めております。またラズバーが行っていた高額請求の返金も同時に進めております。今少し時間はかかるでしょうがグリンダムの冒険者ギルドは健全化する事でしょう。」
「冒険者ギルドの健全化によって人々が外に出るようになり商いが活発になってきております。このグリンダムは確実によい方向に向かっております。」
「ではリール市長??約束通り、ワシら竜騎士団員とドラゴン達の身分の保証を頼むぞ。」
「もちろんでございます。宿屋サングラドを詰所としてお使いください。本部にはめぼしい建物が見つかりましたらまたご連絡致します。」
「あーそれなんじゃが、あのままハミスブルク城を本部として使わせてもらえんか?」
「それは全然構いませんが、宜しいのですか?」
「グリンダムの中心部にも拠点は欲しいが、本部までグリンダムの中心部に移す必要はないからのう。」
「そうですね、隠密や偵察で動くこともありますし、それを考えると本部をハミスブルク城に置いておく方がいいと思います。」
「分かりました。ではハミスブルク城を引き続き本部としてお使いください。それとグリンダムの郊外に竜の神殿を建造いたしますのでしばらくおまちください。」
「恩に着る。リール副市長。」
「いえいえ、これぐらいは当然のお返しです。ナタリーから竜騎士団の方々はドラゴンをとても大切にしていると伺っていましたがやはり本当なのですね。」
「ああもちろんじゃ。ドラゴン達あっての我々竜騎士団じゃからのう。」
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