第15話 ラズバー打倒の報告

俺達はグリンダムの中央広場へとやってきていた。


そしてグリンダムの中央広場でリール副市長による発表が始まった。


「ええ市民のみなさん、ラズバーの暴挙に耐え忍ぶ苦しい日々が長く続いておりましたが、今日それが終わりを告げました。竜騎士であられるジャン・リヒター様がラズバーを見事捕まえてくれたのです。」


俺達がラズバーを捕まえた事を知ると、広場に集まった人たちが沸き返ったのだった。


「おおすげー、ラズバーを捕まえたんですか。」


「やったー、もうラズバーに怯えずに町を歩ける。」


「竜騎士のジャン様ありがとうござます。」


「竜騎士のジャン様ってすごく優秀なんだね。」


広場に集まった人々はラズバーが捕まった喜びと、俺への称賛で溢れかえったのだった。


「ラズバーは市中引き回しの上で裁判を行う予定です。ラズバーの処罰は市民の皆様で話し合って決めたいと考えていますので、よろしくお願いします。」


「団長?べつにラズバーを捕まえる事ができてたのは、俺だけの手柄じゃないと思うんですけど。」


「謙遜するでない、まちがいなく一番活躍しておったのはジャンじゃよ。」


「そうですかね。」


「そうだよジャン、レティシア様の言う通りだと思うよ。ジャンは大活躍だったから、胸を張っていいと思うよ。」


「そうだな、分かった。」


俺はその後、広場に集まったの人達から握手攻めにあったのだった。


「ジャン様、ラズバーを捕まえてくれてありがとうございました。」


「ジャン様、本当にありがとう。」


「あなたはグリンダムの英雄ですよ。握手してもらえますか?」


俺はみんなから握手を求められたので一人一人に握手していった。


そしてその後ラズバーが市庁舎の牢屋から出されて、市内の引き回しが始まった。


引き回しというのはラズバーに魔法封じの手錠をはめてグリンダム市内を連れてまわるというものだった。


市内を一周回ってからラズバーの裁判が開かれる予定になっていた。


だがここでとある事が発生したのだった。


たくさんの町の人々がラズバーに詰め寄ったのだ。


「ラズバー!!よくも俺の娘を攫ってくれたな!!!娘のリーナはどこだ!!!」


「リーナか、もうあの女は捨てたからどこにいるかわは知らん。もちろんあの女もしっかり味見はしてやったぞ!!なかなかいい体してたな!!はっはっはっ!」


他の人々がラズバーを問い詰めた。


「ラズバー、俺がコツコツ貯めた金を全部奪いやがって!!俺らの金をどこにやったんだ???」


「ラズバー!!!よくもコボルト討伐で大金を奪い取ってくれたな、おかげで家の修理ができなかったんだぞ!!」


「ラズバー!!よくも丹精こめて作ったお菓子を毎日毎日川に捨ててくれたな!!!」


ラズバーが人々に言った。


「いいかお前らは無価値な人間なんだ!!お前らみたいな無価値な人間は地べたをはいずり回ってりゃいいんだよ!!お前らの金はこの価値のある人間である大賢者ラズバー様が使ってやった方がよっぽど意味があるんだ!!」


すると詰め寄った人の一人がラズバーに殴りかかってしまった。


すると他の人々もラズバーへの復讐を始めてしまうのだった。


「ラズバー、よくも息子夫婦を電撃魔法で殺してくれたな!!!お前にも電気を食らわせてやる!!!スパーク!!!」


「ラズバー!!よくもいままで暴力をふるってくれたな!!!その分お前を殴り返してやる!!」


他の人達もラズバーへの復讐をどんどん始めていった。


俺はこの状況を茫然と見ていた。


「すごいな。問い詰めたい人が山ほどいるぞ。」


「そりゃそうよ、みんなひどい目に合わされてたんだもん。」


「ジャン、すまぬがラズバーの治療をしてやってくれぬか?」


俺がラズバーの方を見ると、ラズバーは町の人々からこれまでの復讐をされてすでに血まみれになっていた。


「そんな事しなくていいんじゃないですか?町の人達に問い詰められてるのは、全部ラズバーの野郎の自業自得なんですよ?」


「ワシもそう思わんでもないが、さすがにあのまま続けるとラズバーが死んでしまうでのう。ラズバーを裁く前に死なれると色々と大変じゃからのう。」


うーん、確かに団長の言う通りだった。


ラズバーの処罰を決めるまではラズバーには生きていてもらないと困る。


俺は仕方なくラズバーに回復魔法のヒールをかけたてやったのだった。


だがあまりにもたくさんの人々がラズバーを問い詰めにやってきたので回復が間に合わなくなってきた。


そこでラズバーを問い詰めるのにあらかじめ俺達に予約をとってもらう事にしたのだ。


俺達は町の人々から予約をしようと並んでいる人の列にまたしても唖然とした。


「大行列だね?一体何人並んでるのかな?」


「千人は超えてるんじゃないか?今日の予約まだ空いてるのか?」


「今日の予約はもう一杯。明日も明後日の予約も一杯になってる。」


「ラズバーを問い詰める予約が殺到してるな。」


「予約をとるために、毎日大行列ができるもんね。まあ町の人達の気持ちも分かるから、ちゃんとラズバーを問い詰めさせてあげないとね。」


「ああ、そうだな。全部ラズバーの野郎の自業自得なんだからな。」


結局ラズバーの引き回しには10日もかかったのだった。


そして一通り町の引き回しが終わった時に、ラズバーを問い詰めた人数は1万人を超えて、ラズバーが食らったパンチだけで3千発にもなり、魔法を放たれた回数は200回を超えていた。


ラズバーは一日に何十回も血まみれで倒れてしまい、その都度俺が回復魔法のヒールをかけたのだった。


俺が回復魔法のヒールを使用した回数はゆうに200回を超えたのだった。


そしてその後でようやくラズバーを裁く裁判が開かれたのだった。

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