反転したセカイの中で。
首領・アリマジュタローネ
⑩
授業中、ノートを開いて「お腹空いたなー」とぼんやりと考え事をしていると、クラスの女子と目があった。
笑顔を見せて見つめ返すと、すぐに目を逸らされた。
顔を青くしている。
最近よく目が合うけれど、ぼくに気でもあるのかな。
「ねぇ、
「えっ、急になんだよ?」
「別に? 彼女とかいそうだし。モテるでしょ?」
「いやいや……モテないから。あと気になってる人も今はいないかな」
休み時間、移動教室に向けて教科書を整理していると、クラスメイトの
ぼくがそう答えると「へー……」と鼻の下を伸ばしている。
一体なんなんだよ。
「さっき波瑠斗さんに話しかけられてたけど、一体なんの話をしていたの?」
「別に。大したことないよ」
「いいよな、波瑠斗さんに話しかけられてさ。琥珀はかっこいいもんな。肌は白くて艶々だし、髪はサラサラだし、良い匂いだってするし、スタイルだって良い。羨ましいよ。オレなんか最近太っちゃってさ……」
友達の
もしも波瑠斗さんがぼくをデートに誘ってきたら、瑞希との間に亀裂がうまれてしまう。
一体、どうしたらいいんだろう。
「あ、三年生! カッコいいね。名前なんていうの?」
廊下を歩いていると、金髪ギャルっぽい女性が話しかけてきた。
一年生の先輩だろうか。
ぼくの全身を舐め回すように見ている。
「あたしの先輩がさ、喫茶店経営しているんだけど、今度遊びにいかない? 安くするよ。そのあとカラオケいこうよ。あたし、歌上手いよ」
「……すいません、結構です」
「えー。ま、いつでも遊びたくなったら声かけてね」
教科書を抱きながら、瑞希と一緒に歩き去ってゆく。
毎度毎度、ああやって声をかけてくるのが本当にイヤだ。
ハッキリと強く断りたいのに、言ってしまえば後々なにか怖いことに巻き込まれそうだ。
とにかく出来るだけ関わりたくない。
「……怖いんだよな、あの人」
「
「……うーん」
だけど、ぼくはあまりチャラチャラしている人は好きではなかった。
ああいう女はすぐ浮気するに決まっている。
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