さあ、今こそ跳ぶのだ! 必殺情報屋稼業。
大創 淳
第一幕 ……こうして変貌した情報処理。
我が学園は、どの学校よりも時代を先取りしている。具体例を述べるなら、情報処理という名の授業が存在してベーシック語、その次にフォーマット語というプログラム言語を学び、ゆくゆくは情報処理の検定試験を受けることになる。
ただ理屈を学び筆記のみではなくて、実習というものが存在する。それを自在に操れる者が、情報処理のクラブに入部できる。しかしながら、高等部になると授業に組み込まれている。授業料を払っているのだから、当然の権利だ。
実習室にはな、草創期のモデルだが、PC(Personal Computer)が
――クドクド言ってすまん!
単純に述べると、プログラムのお勉強。これが表向きの情報処理なのだ。
だがな、どんな奴にも表があるならば、裏の顔を持っている。ジキルとハイドのように極端ではない。それだけの差だ。だけれど俺たちの裏の顔は、鬼でなければならない。
これから述べることは、
俺たち、裏の情報処理の話だ。
校則の網を潜って
つまりは『処理』も兼ねる。
だから報酬というものが存在するのだ。
ルールは簡単? 必ず処理(始末)すること。相手は手加減なしでも、どの様な状況にあっても殺人は過分を犯すに値する。――だからこそ、ルールは厳守だ。
噛み砕き、解読を重ねて、
考え抜いた結果、『相手の自由を奪って生徒会に届ける』で定着した。
そのため、武器は麻酔針が主流。裏ルートで簡単に入手できる。
たまに飛び道具。刀のような棒。稀に糸を使う者まで出現した。
そんな中、モラルは崩れる。
ギリギリのラインは保つものの、もはや学園を守るというコンセプトから外れ、あくまで『ナンバーワン』の競争で、今では情報屋同士の争いがメインと変貌していた。
その争いに、いつしか巻き込まれていた。
あの日、通り雨のちの夕刻のルームシェアで出会った天使。名はリンちゃん。或いはリンダとも呼ばれていた。……ああ、中三の時から同じ学園で、もう二年も経つのに、同じクラスになったことがないだけで、更に名字が『
俺は彼女にとって過去の人にすらなれなかった。それでもいい。それでも心機一転の再会を果たしたくとも、流れる時は、それさえも、許してはくれなかった。
俺は情報屋の争いに巻き込まれている身。そうはいっても今では被害妄想か。本当は報酬欲しさにドップリと浸かって、誰のせいでもなくなって……自業自得。
それが『情報屋稼業』が持つ魔性だ。
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