第9話 情報管理
日常の会話からニュース、誹謗中傷や名誉毀損、第三者の個人情報、著作物の無断転載、薬物の密売情報など様々な情報が散りばめられている場所。
いわゆる匿名掲示板「8ch」である。
翠はもう一つの世界「False World」について知るために、足を踏み入れた。
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91.名無しさん
>>87
返信ありがとうございます。もう一つの世界について何を知りたいのでしょうか?
92.名無しさん
>>91
こいつ頭おかしいだろwwただの変人じゃんww
93.名無しさん
>>92
俺も含め、変人じゃなきゃこんなところいないってw
94.名無しさん
頭のおかしいやつの会話を見てる分には面白いけどな
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「はじめて掲示板なんて使ってみたけれど、治安の悪さがにじみ出てるよ。早速頭おかしい認定されているし!」
「こんな場所便所の落書きみたいなもんなんだから、いちいち気にしてたらやってらんないわよ~。とりあえず情報を聞き出すのが目的なんでしょ?」
少しイライラしている様子の翠であったが、リーパーに諭されていた。
「とりあえず、"Codeを使って私たちの記憶を抜き取っているっていうのは本当ですか?"っと」
まず相手がどの程度まで情報を握っているのか、真偽も含め確認するために質問を行った。
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147.名無しさん
>>132
あなたは何のためにCodeが作られたかどこまで知っていますか?
もしご存じでないのであれば、過去に合衆国に存在した「
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「ECHELON…なんかカッコイイ響きだけど、なんだかわからない!」
分からないことを誇らしげに言っている翠に呆れながらリーパーは説明をしてくれた。
「過去に合衆国に存在していた、軍事施設の通信傍受システムのことよ。日本じゃあまり知られてないかもしれないけどね。」
パチン
リーパーが指をはじくと、「ECHELON」の画像が目の前に映し出された。
球体のような形をしていて、Codeとは似ても似つかない形をしている。
(そもそもCodeは持ち物に刻まれているし、形もクソもないし)
「全然似てないし、何を参考にしているのかも分からないんだけど、なんで掲示板の人はあんなことを言っているの?」
関連性が見えてこないので翠が言っていることはごもっともな疑問である。
「形とかじゃなくて、そもそも目的のことを言っているのかもしれないわ。」
リーパーはきっぱりと翠の疑問に答えた後、翠にこんな質問を問いかけた。
「翠。人を管理するにおいて、必要な情報ってなにかわかるかしら?」
人を管理?どういうことなのだろうか。
翠には質問の意味が理解できなかった。
「人を管理ってどういうこと?仕事とかの管理者みたいな?」
翠の問いかけにリーパーは頷き、話を続けた。
「翠がある会社の社長になったとしたら、社長は社員を動かしてお金を生み出すわよね?」
社長自ら動く会社も存在するが、基本的に労働の大部分を担うのは社員であることには間違いない。
翠は頷いた。
「じゃあ、その人たちを動かすために知っておくと便利なことって何かしら?ヒントは、人付き合いでもとても大切なことね。」
人付き合いでも大切なこと…あっ!
「その人の性格、趣味…とか?」
「さすが翠ね。こういうときは冴えてて助かるわ。性格や趣味…つまりその人の情報をたくさん持っていると、扱うときに便利よね。」
こういうときという言葉にイラっとしたが翠は黙ってスルーをした。
リーパーは話を続ける。
「情報を持っているだけで、その人の次の行動や返答を予測することもできるし、頼見事を行う際でも、頼みやすいか判断ができるわよね?
人を使う…つまり、管理をする上ではとても重要なことなのよ。でも…」
一息おいた後にリーパーはこう問いかけた。
「会社の収集している情報が犯罪歴、住所、普段の過ごし方、メッセージの内容、通話履歴から通話内容まで把握しているとなると、どう思う?」
性格や趣味などであれば問題はないのだが、通話内容などプライバシーに関わってくるところまで知られるというのは、さすがに翠も抵抗感を感じた。
「メッセージの内容、通話履歴から通話内容まで会社に知られるような状態じゃあ、むしろ情報収集というより会社に監視されているような感じがするけど…」
翠の何気ない感想を聞いたリーパーは不気味に笑ってこう言った。
「そう、いきすぎた情報収集は監視になるの。もし、今の話が会社ではなく国だったら?」
会社ではなく…国が管理…あっ。
翠は一つの答えにたどり着いてしまった。
「国による文書、写真、利用記録、通話など、多岐に渡るメタ情報の収集。つまり、ECHELONの作られた目的は国による人々の監視よ。」
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