第5話 父とCode
父の部屋へ、ヴァースが探していたとみられる資料を探しに向かった。
向かっている途中で、翠は一つ疑問に思ったことがあった。
なぜ、現実世界の父の部屋ではなく、あえてFW(False World)で資料を探しに来たのだろうか。
そもそも、FWと現実の世界とで何が異なるのか確認してみる必要もありそうだ。
父の部屋に到着したと同時にリーパーが言った。
「私は探し物とか面倒なこと嫌いだから、気になる資料があったら呼んでちょうだいね~」
そう言い残すと姿を消したのだった。
初めてあった時から思っていたけど、こいつ自由すぎるだろ!
ぶつぶつ文句をいいながらも資料を探していると、父の部屋から様々な物が見つかった。
私たち家族のアルバムや写真、よくわからない計画書、手紙など様々だ。
計画書や手紙については自分にはよくわからないものが多かった。
仕方がないけど、あいつに頼むしかないなあ。
「おーい!リーパー!近くにいるんでしょー!」
翠はリーパーを呼んだ。
「もっと小さな声でも聞こえるわよ。で?気になる資料はみつかったのかしら?」
リーパーはスッと姿を現した。
「いろいろ見つかったんだけど、何か貴重そうな資料があるか見てもらえる?」
計画書や手紙などわからない物を目の前に広げた。
「少し待ってもらえるかしら」
リーパーはそう言って手を振りかざすと、資料や手紙が宙に浮かび上がった。
まるで超能力や魔法のようだ。
資料は規則正しくリーパーの目の前に並んでいき、いつしか紙の壁ができあがっていた。
その後、3分ほど無意味なものと価値のあるもので選別行い、まとめた物を翠の元へ運んでくれた。
翠は「資料を探す段階からそれをやってくれ」と思ったが、選別をしてくれたことには素直に感謝をしているため、あえて口には出さなかった。
「私が見た限りだと、いくつか気になる資料があったけれども、特に気になったことはこれかしら」
リーパーが資料をなぞると、自動でページがめくられ、いくつか文字が浮かび上がってきた。
"髮カ蠑上�莠コ縺ョ閼ウ縺ク縲∫オ�∩霎シ繧薙□Code縺ョ縺薙→縺�縲�"
"莠コ縺悟、ァ蜍「豁サ繧薙〒縺�k"
文字化けを起こしていて意味不明な文字の羅列だ。これにどんな意味があるのだろうか。
「FWは記憶の世界だから、通常は文字化けなんてありえないの。それじゃあ、なぜこんなことが起きているかというと、本人の記憶が改ざんされているか、保存している記憶のデータそのものに手を加えられているかのどちらかのパターンが考えられるわね。」
資料をたたいて続けてこうも言った。
「ちなみに、この資料はCode開発時のものよ。恐らく、現実には存在しない資料だからヴァースを使って探りに来たのかもしれないわね。なぜここにあることを知っているのかは不明だけれども。」
翠は恐ろしいことに足を踏み入れようとしているのを感じた。
記憶の改ざん!?データの破壊?明らかに普通の資料ではないように感じる。
「な、なんでそんなことをしなきゃいけないの。記憶の改ざんだなんて!」
翠は動揺を隠せなかった。
リーパーは不気味に笑った。
「私もCode本体だからCodeが生まれる前のことは、詳しく知らないけれど、資料によるとCodeの開発はいろいろ大変だったみたいよ。だから必要だったのかもしれないわね。」
そういいながら資料から抜き取った文字を並べていく。
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Txxx年 2月11日
莠コ菴灘ョ滄ィ薙??閼ウ縺ク縺ョ蟷イ貂峨ユ繧ケ繝
脳波同調繝?せ繝医〒荳榊?蜷発生。
同日
記憶の縺ョ蜷梧悄縺ォ螟ア謨。脳への螟ァ驥上ョ繝シ繧ソ豬∝?が発生。
被害迥カ豕:2名死亡
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「なんせ、人が死んでいるんだもの。」
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