第74話 じょうろ

おいら、じょうろ。

ジョウロ。ってカタカナのほうがいいのかな?

もともとポルトガルの言葉で、jorro(ジョルロ)からきてるんだ。

意味は、水の噴出。って意味らしいよ。

あと、スペイン語でjarraていうのもあるね。

水差し。って意味らしいよ。

ちなみに日本の漢字だと、「如雨露」

なんか17世紀ぐらいからあるらしいけど、

もっと昔からそれらしいのはあったかも。

おいらは100均で売ってる、普通のジョウロ。

みどりのぞうさん。だよ。

おいらの今のご主人はお母さん?

ま、昔はちっちゃい男の子だったけどね。

10年以上も前のことだけど、おいらを100均で握りしめた男の子が、

お母さんと一緒に家に連れて行って帰ってくれた。

で、おいらに課せられた使命は、ベランダのプランターのみずやり。

いい感じで水がかけられるから男の子はご満悦。

ただ、水をあげるときに、

鼻水ずるずるー。って、掛け声かけて水あげてたけど。

その横でお母さんが、

鼻水かけすぎちゃ、お花が病気になるからね。毎日少しでいいよ。って。

まあ、鼻から水がでるから鼻水なんだけどさ。

でも、おいらを作った人って、「鼻水」と「花水」とかけてるんだよね。多分。

それから10年以上たって、

男の子は、おいらやプランターに興味なくなったみたいだけど、

おいらは現役だよ。

目玉のシールは両方はがれちゃったけどね。つくりはしっかりしてるもんね。

で、今はお母さんがおいらでプランターで水やり。

このままおいらが壊れるまで使ってくれそう。壊れる気はないけどね。

それと、お母さんがおいらで水やりしてる時、たまに、

鼻水ずるずるー。って小さくつぶやいてるのは、

おいらとお母さんとの秘密。



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