八百万の神々

第44話 リモコン

おいら、リモコン。

テレビのリモコン。

四角でいろいろボタンある。

今ある液晶テレビのリモコン。

ポチポチ押すと、チャンネル変わったり、音大きくなったり。

おいらで一通りのことができるよ。

まあ、そのため？かな。テレビにはチャンネルのボタンとか、音量のボタンとか、

隠れちゃってる。

おいらはお父さんの衝動買いでこの家にやって来た。

突然先代のテレビがつぶれちゃって、

ゲオで衝動買いしてきた。

32型で１９８００円。前から狙ってた。とか。

衝動買いだろ？本当は。

で、お父さんが鼻高々でいってたよ。

昔はチェンネル変えることを、

「チャンネルを回す。」というんだって。

昔々のテレビはチャンネルが丸っこくってガチャガチャ回してたらしい。

んで、お金持ちの家には、

「ズバコン。」

って呼ばれた、リモコンがテレビに刺さってて、

それをとりだしてボタンを押すと、ガチャガチャチャンネルが回ったんだそうな。

で、昔々はテレビって箱型で、中に、ちっちゃい人がいっぱい入ってるっていう人もいたそうな。

今のテレビは板だからね。その人達見たらなんていうんだろ？ペラペラの人がいっぱい入ってるって思うのかな。

おいらはリモコンだし、その遠い祖先のズバコンの子孫？

おいらはテレビに刺さらないけどね。

でも祖先に比べてすんごい多機能になったもんね。

時代の進化。かな。

おいらの子孫はいったいどんな風になるんだろうな。

でもお父さん。

お母さんから、あんたは昔から変わらないってよく言われてるよね。

お父さんも大概だけど、お母さんもマニアだね。

変わらないってことは、二人はずーっとそんな感じ。ってことかあ。

進化も考えもんだね。