第43話 狛犬

おいら、狛犬。

神社にいる狛犬。

おいらのご主人は、神様?

よくわかんないけど、とりあえず、神社にいるよ。

ここで、言っとくね。

おいらはいつもみんなから見て、左側にいるよ。

右にいるのは、おいらの偽物。

獅子。っていうやつ。

おいらには、角があるからね。間違わないでね。

まあ、獅子のやつもおいらも神前の魔除け。が主な仕事なんだけど、

お参りに来る人を睨んでるんじゃないから、安心してね。

獅子は口開いて「あ」っていってる。

おいらは「うん」っていって、口をつむんでる。

阿吽の呼吸ってやつだよ。

なんか仲いいみたいだけどね。

でもいろんな人がお参りに来るね。

おいらのいる神社は学業の神様って言われてて、

若い子たちが、いろんな学校に合格できますように。

ってお参りに来る。

若い子たちだけでなく、お父さんお母さん、おじいちゃんおばあちゃん。

中にはちっこい子たちが、おにいちゃんおねえちゃんの合格お願いにきたり。

んで合格したら、お礼参りにくる。

みんな合格できたらいいのにね。

なかには駄目だった人もいて、文句言ったり、

来年こそは。ってお願いしに来る人も。

おいらたちは神前の魔除けが仕事だけど、神様に、

ちょ。お願い聞いてあげてよ。

っていったりね。

やっぱ頑張ってる人が最後の神頼みに来るんだもん。何とかしてあげたいしね。

でもね。

おいらは向かって左にいる、

角生えたちょっとかっこいい方だからね。

角生えてるからね!


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