第37話 みかんのあみ

おいら、みかんのあみ。

みかんが入ってるあの赤い、あみあみだよ。

最近はビニール袋によくみかんが入ってるけど、

おいらは健在だよ。

昔はみかん。といえば、黄色いダンボールか、

おいらに小分けしてはいってるか。だったんだけどな。

あと、石鹸いれてぶら下がってたりもするよ。

あみあみが絶妙にあわあわにして、手を洗ってくれるのさ。

昔の小学校では、みかんのあみにレモン石鹸。ってのが定番だったんだよ。

今は・・・ぷしゅ。って押すやつかな?

あとは膝を曲げて、そこにあみをかぶせて、

網タイツ。とか。

顔にかぶって、上をつまんでひっぱって、

変な顔。とか。

色々つかえるんだよ。

おいらはスーパーでみかんと一緒に買われてきた。

ま、みかん。がメインなんだけどね。

みかんをかごに入れなおして、おいらの役目は終わり。

でもないよ。ほら、お子さんがおいらを発見。

かぶるか?網タイツか?

げ。手を突っ込んで引っ張ってきた。おいおい。やぶれちゃうよ。

あ・・・ほら。やぶれちゃったじゃないか。真ん中ぐらいに穴あいちゃった。

まあ、穴だらけなんだけどね。

ゴミ箱行きだな。おいら。ま、みかん運ぶ役目を終えたし。ま、しょうがないか。

ん?お母さん。おいらを端からクルクル巻いて。

ほら、りんご。

って。

た、食べるなよ。おいらを食べるなよ。お子様。

あ・・・。

べちゃべちゃになっちゃった。

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