141.日曜は骨董市
星野さんと話をしている間に終業時間が迫っていた。みなさんは明日から夏休み。楽しんできてください。
「風速くんはこの夏休みの間に、ご実家には帰らないのですか?」
「帰らないです。それよりも引っ越すための資金稼ぎに
「そ、そうなのね。来週はサポートする者がいないので、十分に気をつけてくださいね。くれぐれも、くれぐれも騒ぎを起こさないようにしてください」
「りょ、了解です……」
そこまで心配か? なにも二度言わなくても、騒ぎなんて起こしませんよ?
日曜は惰眠を貪り、起きたのは昼前。ミニ雪だるまの性能がよく、最弱設定にしているのに、これ一つで部屋が涼しく最高。なにより、電気代もかからないときている。
正直、涼しい部屋の中でゲームでもしていたい気分なのだが、ほかにもやりたいことがある。というか、骨董市が俺を待っている!
今日は有楽町の骨董市だ。電車で向かえばすぐの場所だ。
有楽町駅に着いて近くの蕎麦屋に向かう。前から来たいと思っていた蕎麦屋。肉そばが旨そうで期待大。
冷たい肉そばの大盛を注文。大きなどんぶりにてんこ盛り。蕎麦だけでなく肉とネギ、刻み海苔もてんこ盛り。これは最高だ!
夏の日差しのなか骨董市を歩けば、本来なら玉の汗を出すくらい暑くてたまらないが今日は違う。ハンディー扇風機ならぬ、ハンディーミニ雪だるまを持参している。
ミニ雪だるまを首吊り状態に紐を付けて、首にかけている。まじ涼しいというか、直接冷風を浴びると寒いくらいだ。
お店を見ながら店主さんにおすそ分けすると喜ばれた。どこで売っているのかよく聞かれるが、もらったものなのでわからないと誤魔化している。
さすが大きな骨董市だけあって、出店数が半端ない。日本刀でいいものを見つけたが、日本刀は買った後に銃砲刀剣類登録証が無い場合は取得する必要があるし、登録書がある場合は所有者変更届が必要になって面倒なので手を出さない。
そして今回見つけてかったのが三つ。
南大路魯海人の山水画、二万円で売られていたの一万五千円で購入。価値は五十五万。
織部筒茶碗 織部角形椀、七万円で売られていたのを五万まで値切った。価値は六十七万。
そして今回の超大物がこれ。
元朝汝窯天青釉玉壺春瓶、十二万で売られていたのを十万まで値切って握手。価値はなんと千七百万円。
箱は新しい物だったが、中身はマジもんの本物。店主は偽物と強調して、苦情は受け付けないからなと言っていたが、絶対に言いません!
さて、骨董市はこのくらいでいいだろう。
今日は七等呪位は狩らない。代わりに十等呪位と九等呪位を狩ろうと思っている。あまり狩りすぎるとレベルが上がってしまうので、十体くらいでやめておこうかなと思っている。
ちなみに十等呪位と九等呪位には依頼がない。一定の場所に留まっていないから仕方がない。狩った時のドロップアイテム提出が証拠になる。十等呪位は十万、九等呪位は三十万になる。
同じ
いくらでも誤魔化せそうだが、できないんだろうなぁ。おそらくそれがわかる鑑定方法やスキルがあると思う。まあ、する気はないけどな。
のんびりと部屋に帰る方向に歩いていく。マップは開いた状態で確認しながらだ。
あまり人通りの多い場所では不味い。そう思ったが、じゃあ、人通りの少ない場所に
サラリーマンの後ろをついて歩いている
しょうがない、助けてやろう。
十等呪位程度の力では今の俺にたいしたダメージは与えられない。いや、ステータスを見るとまったく減っていないな。
ホルダーから霊子ナイフを取り出し、
『アイテムをドロップしました。ホルダーに収納します』
なんとも呆気ない。
しかし、これで以前考えた暗殺が実行できることが判明した。追い立てる必要はなく、物理的に引っ張って行き、
次は九等呪位で試してみよう。
すれ違いざままた首根っこを掴んで引きずる。さすがに九等呪位は簡単には引きずれない。普通の人が今の俺をみたら、パントマイムでもしているように見えるだろうな。
仕方がない、プチサンダーを発動。ビクンとなっておとなしくなる。今のうちに人のいない場所に引っ張り込む。
また、暴れ出したので、二度目のプチサンダーを発動。ビクビクと痙攣している首に霊子ナイフをブスリ。
『アイテムをドロップしました。ホルダーに収納します』
九等呪位も余裕だな。
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