128.TP上乗せ
勇樹は俺の助言を実行して、また少しだけ動きがよくなった。
そもそも、現代の日本人が青龍刀を持ってうまく立ち回るなんてナンセンスだ。青龍刀の扱い方を教えてくれる場所なんてのも、そうそうないだろう。
そうなると剣術スキルに頼るしかない。おそらくだが、青龍刀も剣術スキルを身に付ければ、ある程度は上手くなると思っている。一応、刀って付いているし。
勇樹が持つ青龍刀は刀と槍の中間みたいな武器だ。柄が1mくらいで刃の部分も1mくらい。片手ではなかなか扱い辛い武器だ。
傍から見ると時間が経つにつれ、いい勝負になってきたかに見えるが、実際には
勇樹の攻撃がほとんど
風で受け止めるのではなく、風で受け流している感じだ。見た感じは勇気が猛烈に攻撃しているように見えるが、表情を見る限り勇樹の体力はもう限界に近いかもしれない。
仕方がない。
「勇樹、一旦下がって体力を回復させろ」
「は、はひぃ……」
もう、勝ったつもりか? じゃあ、これはどうだ?
風切りTP二倍攻撃。
ニヤリと笑いを見せていた表情から怒りに満ちた表情に変わる。
予想どおり、風の鎧には受け流すことに限界があるようだな。
水流槍を天戒砲に持ち替え撃ってみる。使用TPは5、淡く光る弾が飛んでいき、
TP30仕様で風の鎧を貫通した。
試しにもう一度TP六倍で撃ってみる。
今度は俺がニヤリとする番だ。
天戒砲に四大元素で対になる土の魔玉を装填、TP30を使用してショット!
茶色い弾が
これだけ? と思った瞬間、
押し潰すというより、すり潰すかな? あれは痛いぞ。
「うわぁ……」
「そろそろ、止めの時間だ。行けるか?」
「や、やれます!」
回転していた支柱が消えると満身創痍で肩で息をする
「千軍万馬!」
だ~か~ら~、声に出すなって!
勇樹の前に騎馬兵と兵士二人が現れ、突撃を開始。騎馬兵の槍に突かれて跳ね上げられ、地面に叩きつけられたところで兵士が刀を逆手に持ち突き刺す。最後にもう一度騎馬兵の
えげつねぇ攻撃だ。
騎馬兵たちは消えたが
「止めを刺せ!」
勇樹が青龍刀で斬りつけ、
さすがにあの状態で風の鎧を発動できないようでボコボコにされている。
『レベルが18になりました』
ーーーー
ーーー
ーー
ー
なかなか手応えのある相手だった。勇樹の訓練にはちょうど良かったし、TP上乗せの検証にも役に立った。一つ文句を言えば俺の訓練ができなかったことくらいか。
だが、天戒砲、こいつはいいな。魔玉を使った攻撃は面白かった。魔玉も天戒砲を使わないで使った場合どうなるかも検証してみたい。
さてと、帰りますか。
帰る準備をしていると、勇樹の腹の鳴る音が聞こえてくる。
「なに食いたい?」
「鰻!」
「赤星さん、お薦めは?」
「事務所の近くにテイクアウトできるお店がありますね」
じゃあ、そこにするか。赤星さんに夜勤組に電話してもらい食べるかどうか聞くと、全員食べると回答。水島顧問も残っているようで食べるとのことだった。家に居場所がないのか?
赤星さんがスマホを見ながらお店に注文。俺がそれを取りに行く。ついでにコンビニでビールとジュースも買っていく。
白焼き、かぶと、肝、ハラミの串焼き、ビールに合う! ちなみに白焼きも、串焼きも初めて食べた。特にかぶとは知っていたけどなかなかにグロい。美味しかったけど。
水島顧問は交流会でもらってきた日本酒を開けて飲んでいる。うん、日本酒も合いそうだ。
ほかのメンバーはまだ仕事中なので、恨めしそうに勇樹と一緒にジュースを飲んでいる。
知らんがな。
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