51.不信感
とりあえず、手が使えないなら足を使おう。
上段蹴りからの回し蹴り、さらに踵落としの流れるような連続技。
おっ? なんか体が自然に動くようなこの感じ。覚えちゃった?
確認は後でいいとして、
「こいつの動きを止める! 止めを刺せ!」
そう言ってから、
瑞葵がレイピアで突き刺し、
この状況、動物愛護団体が見たらなんて言うんだろうな。
『レベルが13になりました』
ーーーー
ーーー
ーー
ー
いつものアナウンスが流れる。
「その動画、誰が撮っていいって言った? 人の戦いを撮るなんてマナー違反だろう。それにあんた監視役ではなく確認役って自分で言っていたよな? なあ、花咲さん」
「くっ。こ、これは確認用のためだよ」
「そんな言い訳が通用するとでも? それが
「そ、そういうわけでは……」
ここまできても非を認める気はないようだな。
「協力体制ねぇ。まったく信じられないな。リクエスト、ホルダーランクバトル」
『ホルダー1831がランク戦強制受理されました。仮想バトルモードに移行します』
おっ、ラッキーだね。駄目もとでやってみたが強制受理された。
花咲は呆れるような目を俺に向けてくる。
「まさかランクバトルを挑んでくるとは。確かに君は強い。だがねぇ、上には上がいることを知るべきだ。まあ、うぬぼれたホルダーを教育するのも先達の役目。相手をしようじゃないか」
花咲の装備は軽鎧一式に盾とメイス。前衛装備だな。
「出る杭は打たれるってか? さて、本当に打たれるのはどっちだろうな?」
「生意気言っていられるのも、今のうちだ。2000近くものランク差がある意味が分かっているのかね?」
「あんたこそわかっていないようだな。ホルダーランクの差は実力差じゃないってことを」
とはいえ、こいつは強いことには変わりはないだろう。レベルは63、適合率がわからないが150未満なら俺よりステ値は少し下、150以上なら俺よりステ値は結構上になる。
それと、戦闘経験値は間違いなく俺以上だろう。侮れない。
ここは最初から加速抜きの準本気でいかせてもらおう。
水流槍から火炎の杖に持ち替える。
「燃やし尽くせ。フレイム」
瑞葵に声を出して攻撃するなと言っているのだが、俺も声が出てしまう。やっぱり、声を出したほうが気合も入るし、格好がいいよねぇ。
「ぐぁ!?」
花咲を中心に炎の柱が立つ。効いているな。
火炎の杖から水流槍にチェンジ。間合いを詰めるためダッシュ。
花咲も体が光り炎の柱から抜け出す。柿崎と同じ身体強化か?
だが、逃がしはしない。追撃あるのみ。接近し水流槍と霊子ナイフで攻撃をするが盾とメイスを上手く使われ、有効打を与えられない。こういうところが経験がものをいうんだろうな。スキルの力もあるのかもしれないが。
「まさか、炎系の魔杖を持っているとはね。少し油断したよ」
「それはどうも。そのまま倒れてくれれば楽だったんだけどな」
水流槍と霊子ナイフは上手くあしらわれている。なら、足を出せばいい。
「ぐっ……。君、足癖が悪いね」
ローキックが花咲の左足にクリーンヒット。
「お褒めに預かり光栄」
おそらく、さっきの
「チッ、やられてばかりだと思うなよ!」
至近距離から花咲が繰り出したメイスから火の玉が打ち出される。そういえば、
水流槍から水球を出して相殺。と思ったがぶつかった瞬間、爆発して俺も花咲も吹き飛ばされる。水蒸気爆発か!?
立ち上がりBPを確認すると微々たるダメージだ。問題ない。
「くそっ、そういえば水の魔槍持ちだったな……」
やっぱり柿崎から情報は流れているか。
さて、こいつをどう倒そうか。
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