38.アイテム確認
呆れ顔の瑞葵だがその恩恵を受ける立場にいるんだぞ。
「でも、七等呪位を倒せばもらえるんでしょう? 意外と持ってる人は多いのかしら?」
確かにこれを知らない人から見れば、チート《不正行為》と言えるだろう。
「レベルが低いうちしかもらえない称号だと思っている。ほかのホルダーは安全マージンを取って戦っているようだから、七等呪位と戦う頃にはレベルが高くなりすぎてもらえていないと思う」
そう、ホルダーになってすぐの低レベル帯の時のみ可能な裏技みたいなものだ。だが、瑞葵の言うとおり、称号を持っている人は多いかもしれない。
取得方法はわかりやすい。危険を冒せば取れなくもない。だが、その比率を上げるのは難しいと思う。レベルの低いうちから始めないと比率は上がらないからな。
「危険を冒してこそ得られる恩恵なのね。でも、そうなるとこの称号習得方法の情報って私たちの強みになるわね」
「どうだろうな。すでに知られている情報かもしれない。これができるのは適合率が高いからで、普通のホルダーには難しいからな」
まあ、その辺の情報取集は今後の課題だな。少しでも強みになる情報を集めておきたい。
そして今回、瑞葵がドロップしたアイテムはこれ。
黒曜石の短剣 250,000P
七等呪石 25,000P
俺がドロップしたアイテムはこれ。
黒曜石の腕輪 145,000P
妖術のオーブ(13/50) 600,000P
七等呪石 25,000P
この時点でのドロップ率は2倍。PT戦なので貢献度みたいなのもあるかもしれないが、これだけの差が出た。特に妖術のオーブはレアだろう。
ちなみに得られたポイントは瑞葵は6,500P。俺は7,000Pだった。討伐報酬ポイントの低さについては瑞葵は気にしていないようだ。所詮は端金なんだろう。
「ねぇ、この特殊アイテムって使っていいのかしら?」
「いいぞ。運にもよるがいいものが出る可能性がある。ルー……」」
「ル、ルーレット!?」
人の話を最後まで聞かずに使用したみたいだ。まあ、いいけど。
「水魔法のオーブ(22/50)が当ったわ」
俺も使ってみた。残念、今回もパジェ〇は当らなかった。当ったのは牙狼の小手。
「ドロップしたアイテムや武器防具の効果がわからないと困るわね」
「そこで役に立つのが俺のプチ鑑定だ。アイテムに関しては鑑定できないが、武器防具の鑑定はできる。簡単な
「恢斗ってなんでもありね……」
命奪の短剣 (+40) 呪い(命奪) 一定の確率で呪い(命奪)を与える。
※黒曜石の短剣
素早さの腕輪 (BP+40 AGI+15)
※黒曜石の腕輪
牙狼の小手 (BP+120 AGI+20)
なかなかのラインナップ。素早さの腕輪と牙狼の小手はAGI型を目指す瑞葵と、命奪の短剣とトレードした。正直、牙狼の小手はもったいなかったが瑞葵が弱いままでは困るので投資だ。
ついでに持っていた水魔法のオーブ(1/50)もあげた。(1/50)じゃ俺が持っていても、いつ集まるかわからないからな。
「いいの?」
「瑞葵が強くなることが先決だから」
そうなれば、更に上の
「スキルの使い勝手はどうだ?」
「読んで字の如くね。引っ張る力と押す力ね。使っている間TPが減るみたい。だけど、使っている間にレジストされたわ」
「そこら辺は瑞葵自体のレベルとスキル自体のレベルが低いからだろうな。レベルが上がれば相当使えるスキルだと思うぞ」
「例えば?」
「そうだな……」
考えられるのは相手の攻撃自体をスキルで阻害できるようになると思う。剣で攻撃してきたところを引力、斥力でズラしたり、魔法を斥力で跳ね返すことだってできるかもしれない。引力、斥力の方向も操作できるようになれば一方的な戦いも夢ではない。
俺の加速以上のチートになる可能性があると説明した。
「私、Tueeeeできるかもしれないのね? 夢が広がるわ!」
時間も時間なので今日はお開き、明日も今日と同じ時間にこの駅前に集合と決めた。
「嘘……。あんなに素晴らしい料理がこの値段だなんて……」
ファミレスだからな。
値段が云々言っておきながら払う気はゼロのようで、男が払うのがさも当然とばかり会計を無視して出ていきやがった……。くっ、これだからお嬢様は。
払いましたよ。甲斐性なしなんて言われたくないからな。
「ねぇ、ドロップ品の中に毛皮があったわよね? 見せてくださらない?」
凄く嫌な予感がする。
「これ、
似合う似合わないで言ったら似合うだろうよ。だがな、そいつは四十万の価値があるんだぞ? それを俺から奪う気なのか? 奪うんだな……。
「貸しひとつだからな」
「貸しだなんて
まあいい。お嬢様にゴマを擦っておくのは悪いことではない。いつか、カウンターのあるお寿司屋で大トロ食べ放題をさせてもらう! 必ずだ!
瑞葵は家に電話していたようで、すぐに黒塗りの高級車が迎えにきた。俺を乗せて送る気はないようで、さっさと車に乗って帰っていった。これだから、お嬢様は……。
疲れた……。帰ろう。
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