強化要素無しで異世界に捨てられたぞい

どらいあい

第1話 強化要素無しで異世界にいけだと?

「ふざけんなよ、そんな条件で異世界になんて行けるかコラッ!」


 俺は目の前の神を名乗る白いスーツ姿の美少年に憤慨していた。


 何故ならなんか俺に異世界に行かないかと言われたのだ、俺は普通に異世界に行けるなら日本なんて腐りかけの島国なんて見捨てられる男、行けるなら行きたいですと答えた。


 だがしかし! 話はそんな美味くはなかった。なんか異世界には行けるがチート能力なしチートアイテムなしだけどねって話をされたからだ。


 向かう異世界は中世ヨーロッパ的な剣と魔法の世界、そして魔物がいてそれと戦う事で強くなれる。

 要はレベルアップシステムが実装された異世界なのである。しかしだ……。


『仕方ないじゃ~~ん、だって君死んでないんだもん。死んでその世界の人間に転生するならともかく地球って星のちっさい島国の人間に異世界ルールを適用させるなんて無理だよ~~なにより面倒くさいし』


 面倒くさいからってのが一番の理由が気がする、このクソガキ神。人の人生をなんだと思ってるんだ。


「そこは神様パワーでなんとかしてくれよ! チート無しな上にレベルアップシステムの恩恵を俺だけ受けられない異世界とか誰が行くんだよ! こんな条件じゃ誰も行くわけないだろうが!」


『うん、そうだよ~だから君に意外にはみんな断られちゃったんだ。だから僕は考えた……ならもう断っても無視して送っちゃえってね』


 ………は? まさかコイツ。

「なっまさかお前」

『はいこれアイテム作成ツールね』


 クソガキ神が指をならす、すると俺の目の前に一個の鞄が現れた。

 取り敢えず中身が見る、なんか百均で売ってそうな小型のすり鉢とかまな板とか小刀が入ってるな。


『それじゃあ頑張って異世界で生活してね! 君が頑張って生きていくと神様として僕の評価も上がるんだからさ!』


「てめっふざけんなよ! だったらこんなゴミじゃなくてチート能力の一つでも寄こせや!」


 視界がホワイトアウトした。



 ◇◇◇◇◇◇



 そして気が付くと誰もいない原っぱに俺は立っていた。くそっ本当に異世界に転移させられたのか。


 回りを見る、人間が住んでそうな街すら見当たらない。あのクソガキ神め、せめて人里が目の鼻の先にある場所に転移しろよな。


 本当に魔物がいるなら速く安全な場所まで行かなくては死んでしまう、何故なら俺にはチートどころか今後強くなれる強化要素的なシステムすら何もないんだからな。


「………取り敢えず、武器になりそうな物を探しながら歩くか」

 最早出来るのがそれくらいしかない、俺は一人トボトボと歩き出した。

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