File6 今林社

 俺は九鬼泰照。少し誇ることがある情報屋だ。

 最初はいつも依頼者を紹介するのだが、少しだけ誇らせてほしい。

 俺の所属する藤松会には、とある組員がいる。それは、戸崎隼人とざきはやと

 戸崎は半グレ集団のジャックスのリーダー、下尾を殺った。さらに、普段のシノギを頑張ったことによって、昇格したのだ。

 「戸崎」

 「九鬼さん」

 「おめでとう」

 「ありがとうございます!」

 戸崎は子供のように大はしゃぎし、喜んでいた。




 さて、今宵も暴露屋に依頼者がくる。

 今回の依頼者は老人の男。名を三原英希みはらひできといった。

 「では、依頼の内容を」

 「はい。私の有り金の8割を奪った自称優良会社を社会的に抹殺してください」

 三原は、とても穏やかな老人であった。

 そのために、自分の子供やその孫に好かれ、愛されていた。

 それ故に孫のためにお金を沢山出しておきたいと思って、何か方法は無いかと探していた。

 そんなある日、三原の住む家にとある男がやって来た。

 「どうも。私、今林社の者です」

 その今林社というのは、金を客から預かり、それを2倍にして返すという不思議な会社だった。

 最初はは三原もそれを信用して、会社に金を10万程金を預けていた。

 するとどうだろう。なんと20万が返ってきたのだ。

 そうしたことによって、三原は思わず有り金の8割を今林社に預けたのだ。

 しかし待てど暮らせど金は帰ってこず、一瞬にして貧乏になったのだ。

 その瞬間、これを詐欺だと発覚し、三原は警察に相談した。

 しかし、何者の力によってなのか、捜査は急に打ち切られた。

 それに絶望した三原はここに来たのだ。

 「お願いします。奴等は他の人間も騙して金を奪ってるはずだ!なので、奴等を……………」

 その声には怒りが籠もっていた。

 「わかりました。では、抹殺いたしましょう」

 その後、俺は今林社を詳しく調べた。

 今林社、所謂詐欺系の会社で、幾人ものの老人を騙した。

 特に社長である今林清安いまばやしきよやすは、とてつもなく金の亡者で、金を使い捜査を打ち切りにすることが可能なほどの金を所持している。無論、その金は老人から奪ったものである。さらに、半グレどの繋がりがあると踏んだ。

 俺は早速、マスコミにリーク。流れるように奴は失脚する……………筈だった。

 何故か報道されず、今林社は安泰だった。

 (何故だ………………もしかして、マスコミに金を?)

 俺は今林社、もとい今林清安の恐ろしさを知った。




 数日後、戸崎と共にシマの見回りをしていると、意外な人物に出会った。

 それは、今林だった。

 「お前は……今林」

 「アンタか!俺の情報を流そうとしたのは!」

 「アレは事実だからマスコミに言おうとしたんだ!何が悪い!」

 「フン!うるさい奴だ!おい!木ノ原!こいつらを殺れ!」

 「あいよ、今林の旦那」

 前に出たのは、いかにもチャラそうな男。

 「俺の名は木ノ原一弥きのはらかずや!グレイトキングの幹部じゃあ!」

 それだけ言うと、いつの間にか木ノ原はピストルを構えていた。

 「く、九鬼さん!」

 「しゃーない…俺はコイツと………………戦う!」

 俺は服を脱ぐと、背中を見せつけた。

 「木ノ原ァ…覚悟しろぉ!」

 「うぉ……龍の刺青……」

 木ノ原が驚いている瞬間、俺は超スピードで奴のもとに近づき、腹を殴った。

 「ぐぅ…」

 そして、木ノ原はすぐに倒れた。

 「次はテメェだ」

 「ヒィッ!」

 次に今林の胸ぐらを掴み、一発殴った。

 「グエッ」

 「一旦死んどけ」

 そして、今林も倒れた。

 「よし、後はまたマスコミにリークと…」

 「す、凄い…九鬼さんにこんな力が……」

 そして、服を着ようとした瞬間。服を拾い上げ、顔を上げると、戸崎は倒れていた。

 「なっ…戸崎!」

 俺は戸崎に近づくと、後ろから声がした。

 「なぁ…油断はするなって言われなかったかぁ?」

 やったのは木ノ原だった。

 「戸崎!」

 「九鬼さん……………俺は…このまま死にます……………どうか……組の未来を………」

 「戸崎………戸崎ィィィィィィィィ!」

 俺は号泣した。




 その後、今林は詐欺罪で逮捕される予定だったが、何者かによって、住んでいた家に放火をされ、その時に家にいた今林ごと、灰となった。

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