一つの決着 その10
「実際に、どういう方法なら可能なのか、ドーワは知っているのか?」
ルヴァイルもインギェムも他人事ではないし、非常に関心があるようだ。
ミレイユにも、その期待が籠もった視線も感じられたくらいだから、ドーワにも分かった事だろう。
不快そうに目を細めたが、それでも結局、嫌な気配を出しつつも口にした。
「具体的な方法なんか知らないよ。ただ、可能そうなものなら、という思い付きみたいなもんさ。正解だっていう保障もない。……それでも聞くかい?」
「あぁ、懸念を晴らせる材料になるなら」
「……ふん。別に理屈の上では難しい事じゃない。単純に魔力を完全に吸収できる素材で、がっちりと周囲を塞いでやりゃあいい。なぜ魂が引っ張られるかと言えば、大気中のマナに魂が触れる事で反応する様になってるからだ。つまり、その魔力反応を利用してるんだね。だから、それを完全に遮断する物体ですっぽりと囲んでやれば、引っ張られないという理屈さ」
ミレイユは喉奥で唸りを上げて、腕を組んだ。
神々だけに留まらず、ドラゴンやゲルミル一族三十の魂など、その対象が神魂だけに限った事でないのは分かっていた。
一定数以上の力を持つ魂が、その対象として自動化されているのだろう。
同じゲルミルのスルーズが死んだ時は発生しなかった事から、一定範囲に一定数以上の魂を基準として設定していると思われる。
マナがない場所など存在しないから、それと触れる事で生まれる反応を利用すれば漏れる事なく回収できると考え、設計したのだろう。
だからこそ、抜け道もまた知っていたと考えられる。
とはいえ――。
「仮にそんな物を用意できたとして、
「元より膨大な時間を生きる神だから、人間と同じ尺度で考えていけないとしても……。数千年は長いと思うのよね、やっぱり。その
ユミルの腹から絞り出すような声音は、全体的に否定的な意見だった。
ミレイユとしても同じ様なもので、可能不可能を論じれば、可能であろうと思っても、やりたいとは思わないだろう。
自身の終焉に抵抗するのは生命の
人間と同じ尺度で考えるものではない、と言われたばかりだが、生きる為に拷問を受け続けたいとも思えないのだ。
それとも、神の精神とはそういうものなのだろうか。
ならば何故、後継者を造ろうとしていたのだろう。
後を託す為に欲したのではなかったのだろうか。
ミレイユが思考に没頭していると、頭上から喉を鳴らす笑い声が降って来た。
「だから、言ったじゃないかい。可能かもしれない、というだけの思い付きさ。実現性に乏しい、という意見も良く分かるしね」
「大神の性格的に、あり得ると思うか?」
「さて……、御方々は我らの事を可愛がってくれていて、そのお優しい気質を見せていたものだがねぇ……。それと同時に、必要とあらば、手段を選ばぬ苛烈なものを持っていた。自身の生に、どこまで執着を持っていたか、そこを知る機会はなかった。……何とも言えない」
「そうか……」
結局、何一つ確証らしき物は得られず、ただ懐疑だけが残る事になった。
状況だけ見れば、大神の死を確定付けるものはない、という話であるものの、生きている事実も考えられるものではないのだ。
魂だけなら逃げられる可能性はあったかもしれない……。
とは言っても、神魂は『遺物』に吸収される。
実際に大神が免れた事実をラウアイクスが知っていたなら、やはり、それを模倣しようと試みるだろう。
同じ物を用意できなかっただけ……そういう話も出たが、ならば大神は、今も何処かで
自身の安全が確保されたと、確信が得られるその時まで。
「なぁ、ドーワ。最後に一つ聞きたい。お前にとっては、非常に不快な事だと思うんだが……」
「何だい……今更、殊勝になる事かね。好きに聞くと良い」
「お前達が姿を歪められて、長く雌伏を強いられていた時の事だ。実際、その内の一竜は辛抱が出来ず飛び出してしまった、という話だったが、お前にしても長く苦しい時間だったろう。耐えられた理由は何なんだ?」
「あぁ、その事かい……」
ドーワはつまらなそうに鼻を鳴らしたが、無視する事はせず、一拍の間を置いて話してくれた。
「大抵は寝ていたよ。寝る以外、やる事もないからね。その気になれば、百年でも二百年でも眠ったままでいられた。危険なんてモンも、殆どなかったしね」
「寝て……、百年も……。魂だけになっても、同じ事が出来ると思うか?」
「肉体がないのだから、寝る必要もないだろうさ。意識を自発的に遮断して、寝ている様な状態にする事は……さて、可能なんだろうかね? 魂だけの存在になんなきゃ、分からん事だろうさ。ただ……」
ドーワは一瞬、考えるような仕草を見せてから、ルヴァイル達へ視線を向けた。
「そっちも一応は神だ。出来るかどうか、聞いてみちゃどうだね」
「それもそうだな」
ミレイユはその助言へ素直に同意して、ルヴァイルの顔を見る。
「どうなんだ? お前達もまた、長く生きる存在だろう。意識の遮断とか、可能なのか?」
「八神の中で、それをする者はあまり居ないと思いますが、可能です。……特に私は、繰り返す時の中で、行動する必要がない長い時間というのを知っていたので、そういう時には積極的に遮断していました」
「なるほどな……。お前たちに出来る事なら、大神にも出来ると考えて良さそうだ」
「だからこれまで、発狂せずに済んでいた、とも言えますが……。でも、それを聞くと言うなら、大神は何処かに隠れていると、そう貴女は考えているのですか? 今も姿を見せないのは、その意識を遮断しているからだと……」
ミレイユは自信を持って断言するつもりなど無かったが、それがどうやら可能らしい、と分かった時点で、未だ存命という可能性を捨てられなくなった。
魂だけの存在となりつつ、今も
それを存命と表現するのなら、そういう事になる。
「大神が、この世界に見切りを付けていたのは、話を聞く限り事実らしい。だが、自己の生存を諦めていたか、それとも抗おうとしていたのか。……そこまでは断定できる事でないと思う。だが、再起が可能と思えばこそ、取りそうな行動とも思える……」
「肉体を捨て、毒を撒いたとしても?」
「再起には時間が掛かる。それを理解していたからこそ、なのかもしれない。だとすれば、肉体はむしろ枷だ。代替可能なのか、創造可能なのか知らないが、とにかくそこが問題とならないのであれば、捨てることに躊躇もないだろう」
その意見にはユミルも賛成だったらしく、何度も頷きながら補足するように言葉を続ける。
「創造神だものね……。生命を権能としてる奴もいる。……そうよ、肉体を得る事は難しくないんだわ。でも、寿命については避けられない、という話でもあった筈……。世界の終焉は自己の終焉と直結する筈でしょ? 結果として八神が維持していたけど、そうならない可能性もあったんじゃない?」
「そうだろうな。だから、生存を目的としているなら、それを可能とする狙いがあった筈だ。そこで思い付くのが――」
ミレイユが一度言葉を切り、インギェムへと目を向け、指先も向ける。
二度、三度と指を振ると、話に付いて行けてないインギェムは、目を白黒させて自分自身を指差した。
「己が……何だ? 何もしちゃいないぞ」
「そうじゃない。お前が言い出した『移住計画』だ。世界を越える算段があったなら、それも現実味を帯びて来る」
「神は世界を越えられない――その理屈は、どう考えます?」
ルチアが顎先を掴んだまま言って、怪訝な視線を向けて来た。
無論、問題となるのはその部分だ。
理というものは、神でさえ従い、避ける事の出来ないものだろう。
理に屈すると書くから理屈なのだ。
それは神さえ退けられない道理である、という指摘も当然だと思う。
しかし――。
「大神が生存の望みを捨てられず、移住計画が自身の為だったという仮定において、可能であると考えるべきだ。――つまり、抜け道がある」
「いや、でもさぁ……。その仮定においては、あると考えなければ辻褄が合わない、と言いたいだけじゃない? 大体、そんなコト本当に出来るの? 無理でしょ」
ユミルが大いに疑念を含んだ視線を向け、そしてルヴァイルにも念を押すかの様に顔を向ける。
ルヴァイルもまた困惑した様子を隠そうともせず、弱り切った顔で頬に手を当てた。
「……ない、と思いますが。それが出来るようなら、ミレイユを取り戻すのに、胡乱な手段は必要ありません。神々のいずれか、もしくは複数で世界を越えて取り戻せば良かったのですから。……いえ、世界の維持は自己保身の為でもあった訳で、それならば世界を越えて逃げていれば、話はもっと簡単でした」
「そうよね……。ラウアイクスは、だからこそウチの子に、手を出さずにはいられなかったんだもの」
ユミルが頷き、ルチアも顎に手を添えたままで、同様に頷いた。
「時間は掛かっても、最終的に可能という手段を取らざるを得なかった訳です。『地均し』についても……、そうですね。遊びというには手が込み過ぎてますから、あれについては、ミレイさんを瀕死に追い込める戦力が他になかったから、仕方なく取った手段なんでしょう?」
「そうですね。……そう、聞いています。より確実性のある手段で……、『地均し』は封じていなければ勝手に動こうとするうえ、制御もできないので、都合が良かったから利用した……その様に」
これを口にするのは、ルヴァイルとしても気不味いものがあったらしい。
ルチアやユミルからの刺すような視線が向けられていたのも、その原因だろう。
怒りも強いが、それと同時に、ミレイユ達は望む結果を得られつつある。
それを考えると、邪険にばかりもできない。
ともあれ、ラウアイクスを始めとした八神にも、世界を越える事は出来ない、という共通認識を持っていたのは確認できた。
「普通であれば無理だろう。だから、抜け道なんだ」
「そりゃそうでしょうけど……。じゃあ、アンタにはもう、その目処が立ってるの?」
「まぁ、それらしい推論は既に浮かんでいるんだが……。だが、ラウアイクス達には取れない手段だ。そもそも、似た事が出来るなら、今の今まで放置してる筈はない」
「それは、えぇ……。間違いないと思います」
ルヴァイルも同意し、その隣でインギェムも頷いてみせた。
「世界を越えられないからこそ、世界を削り落としても維持していた訳だろ。アイツらにゃ、この世界に執着する理由だってないものな。沈もうとしてる泥船を、必死こいて維持するくらいなら、別の船に乗り換えたいのが本音だろうさ」
「それにですよ、仮に大神が魂だけの存在になって、どこかで身を隠すとしても、世界が維持される事だって賭けだったんじゃないですか? 本神は意識を遮断しているから分からないという理屈だとしても、その間に世界が破滅したらどうするんです。そのまま一緒に、消えるつもりなんですか?」
ルチアの疑問は、実に的を射ていた。
生存を何より優先して肉体すら捨てたのに、その部分については計画性が乏しい。
オスボリックが瘴気を封じていなければ、その時点で多くの生命が死滅していた。
多くと言わず、恐らく全てが……。
これでは単に、自分が死ぬなら諸共道連れ、と考えた方がしっくり来る。
裏切り者への制裁と同時に、破れた事で一矢報いるつもりだったと考えれば。
では結局、移住計画とは、構想段階で潰えた計画でしかなかったのだろうか。
そうと考え、ミレイユは心の中で
――そうとは思えない。
先程聞いた、ルヴァイルの一言が気になっている。
『地均し』は、勝手に動いて制御できない。
似た事は、ラウアイクスも言っていた。ならば、それは事実だろう。
では、最初から……八神の手元にあった時点から、周囲を破壊する様に動こうとしていたのだろうか。
有用な戦力だとしても、制御できないなら兵器としては失格だ。
敵も味方も吹き飛ばす爆弾など、誰も喜ばない。
『地均し』を戦場に投入したのは、兵器として運用するというより、手あたり次第に暴れた結果、利になれば良いという期待からだった。
ラウアイクスが言うには、丁度良い機会だから捨て去ったという感覚だった様だ。
そうまでした厄種であり、制御すら出来ていなかった事実から、『地均し』を造ったのは大神だと考えるべきだった。
八神からすれば、そもそも取っておく必要がない。制御不可能なら破壊すれば良いだけだ。
では何故、邪魔になるばかりの物を破壊しなかったのか。
策謀を巡らせる指し手としては、単に破壊してしまうより、何処かで活用するつもりだったからか。それは一つの利として、考える事は出来る。
戦場に投入すれば、それだけで破壊を巻き散らす事が出来るから。それもあるだろう。
権能を使う装置が、勝手に孔を開き続けてくれる利を考えたからか。それもまた、あるだろう。
だが一番の理由は、そもそも破壊できないから、ではないか。
『地均し』の破壊を試みなかったとは思えない。
だがその鎧甲が魔力を吸収してしまうだけでなく、糧とする事を理解して手を出すのを止めたのではないか。
インギェムやルヴァイルを基準と考えるのも危険だが、これら八柱、それと神使を集めて、鎧甲を突破するだけの威力を捻出できるだろうか。
ミレイユが神宮で『地均し』と遭遇した感触からして、その程度では無理だろうと思うしかなかった。
「大神は既に、手段を手に入れていた、としたら……。魂も
情報を仲間内で共有しない奴だった。
あるいは、有能と認めた者にしか、相談を持ち掛けなかっただけかもしれない。
何れにしても、その事実を知っていた者は少なかったに違いない。
「根本的にその野望を挫く事は不可能、と悟っていたんじゃないか……。留める事は可能でも、そもそも止める事は不可能だと。だから、利用するだけ利用してやるつもりだったのかもしれない。せめて自分の役に立て、という意趣返しか? ……まぁ、それも考えそうな奴ではある」
「意趣返し? ラウアイクスが、大神に? ……アイツは所在を掴んでいたの?」
ユミルの疑問にルチアも追随して頷く。
「つまり、あの瘴気は欺瞞でしかないと理解していた、それは尤もです。ラウアイクスが理解していなかったとは思えません。でも、それなら大元となる
「そうだな。だから身動きできないよう、封じる事だけはしていたんだろう。あるいは、動かさないでいる事が、奴なりの意趣返しだった可能性もあるか……」
ユミルは疑惑を顔面に張り付けて、胡乱な視線を向けて来る。
「まぁ、移住したいと思ってる奴を縫い付けておけるなら、そりゃ確かに意趣返しって感じもするけど。でも、最終的には抜け出すとも考えていたワケ? いつまでも留めておけないって? ……それがつまり、あの置き土産の瘴気?」
「蔓延してしまえば、封印どころではない、という理屈も分かりますけどね……。瘴気の溢れようは異常でした。それを一つ所に留めていたのは、流石の権能という感じですが……」
「もしかしたら、大神からしてもここまで完全に封じ込められたのは、誤算だった可能性あるわよね。トカゲの尻尾切りとして残した死骸が、毒となるよう創るのは可能だったと思うのよ。だから、その対処に追われる事までが、計画されていた事だったのかも……」
「けれど、完璧に封印されてしまって、そんな事態は起きなかったと……。大地が朽ちれば人も死に、願力が無くなり対処できないか、そもそも世界が削られ破滅するか、どちらが先かの破滅レースを強要するつもりだったのかもしれません」
ルチアが思う最悪の予想は、否定する材料が見つからなかった。
それをユミルが鼻で笑い、蔑む視線を空に向ける。
「それについては、まぁ、ざまぁみろって感じよ。そうして盛大に、立つ鳥跡を濁しまくって世界を去るつもりだったんでしょうけど、それは八神のファインプレーで防いでいたのね」
「でも、過程は違えど、瘴気は溢れ出してしまった……。世界が破滅する瀬戸際で、もはや封じるものもない。大神の目的を考えますと、少しの猶予さえあれば良く、それで十分転移できてしまう」
「……孔を拡げる苦労はあるのかしらね。魔力の大きさが関係するから……、あぁそう。魔力を遮断する箱の中に居る事で、その問題も解消しようっていうのかしらね……」
「そもそも魔力があるのでしょうか」
そう言って小首を傾げたのはルヴァイルだった。
どういう事だ、と視線を向けると、恐縮するように肩を窄めて言う。
「今更、一つ思い出した事がありまして……。大神は魔力を持っていなかったように思います。膨大な神力があるから必要としていなかった気がしますし、そもそも創造神たる存在だから、魔力を持たなかった可能性もありますけど……。造られた神と違う大きな部分は、そこかもしれません」
「創造神だからこそ、魔力を必要としていないという理屈も、分からないではないけどね。でも、そう……。魔力と神力の違いなんて分からないけど、仮に魔力同様、孔の通過に必要な大きさが関わるとしても、やっぱり箱の中にいるなら解消できる問題ではあるわよね」
「結局、そういう話になりますか。どちらにしても、転移に対して枷となる事は無いと」
「でもじゃあ、今まさに大神は目的を完遂しようと、動き出してるってワケ?」
ルチアの指摘に、ユミルは忌々しく思う表情を隠さず周囲を見渡した。
しかし今は、音速で移動する竜の背の上だ。
封印が解除された事で動き出す何かがあったにしろ、その気配の尾すら掴む事は出来ない。
しかし、そのような気配は最初から見える筈がない、とミレイユは既に判断していた。
「今はもう、警戒する必要はない。奴らは既に、世界を越えている」
「何でそう思うの? 奴らの移住は、既に完了してる? そんな気配なかったけど……でも戦闘中、生死の狭間で何もかも、察知できたと豪語できないし……」
「そもそも、これまでの仮定は全て、箱が実在する前提での話ですよね? でも、今までそんなもの見ていません。あるならば可能、という話はつまり、無ければ杞憂って話にもなります」
「そうよね? でも、アンタはそれを見たとか、感じたとかしたワケ?」
「そうだな……、見たと思う。そして、だから、
ミレイユは苦虫を噛み潰す顔をして、眉間に刻まれた皺を揉んだ。
指先二本でゆっくりと揉み解し、そうしつつも単なる杞憂であってくれ、と願っている。
単なる取り越し苦労、思い過ごし、無駄な懸念、そうであってくれたらと思った。
だが、材料を繋ぎ合わせると、不都合な真実が顔を出す。
ドーワが言った、魔力を完全に吸収する物質。
魂を、その中にすっぽりと覆い隠せる物。
同じ物が四つ、ないし四つ全てが、収まるだけの大きさを持つ事。
制御も出来ないから、封じておくしか出来なかったのだという事実は……或いは、何か明確な目的があって動こうとしていたと考えられないか。
自動的に孔を開こうとするから、それに指向性を持たせて利用していた、とも聞いている。
孔とはどういう性質か。転移の為に、世界と世界を繋げる道だ。
ドーワは何と言っていた。
――それが仮に百年掛かるものだとしても、百年で済むなら抜け出そうとするだろう。千年だろうと同じ事。
この仮説が事実で、単なる杞憂や思い過ごしでないのなら、他の可能性を探す方が難しい。
そして、ラウアイクスは明らかに、大神の性格を知っていた。
どういう意志と目的を持つか、それを知っている様子を見せていた。
『地均し』と大神の関連性について、その時点で仄めかしてもいて、破滅を呼び込んだ事を嘲笑うようでもあった。
――知れば後悔するだろう。
ラウアイクスが言っていた本当の意味は、知らずにいた方が幸福だった、という意味の裏返しだ。
考える程に不都合な真実が露出して来て、ミレイユは大仰に顔を顰めて歯噛みする。
そこへ、ユミル達から急かすような視線を受け、大仰に溜息を吐き、考え付いた真相を口にした。
「神造兵器『地均し』こそが、その
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