暗鬼
何故 此処にある……
自分の薬指を見やった
私は一度たりとも外したことなどないのに
妻はなぜ……
一番下にそれはあった。
蓋付きの収納ボックスが、ひっそりと隠すように。大小の仕切りに合わせ、色とりどりのそれらは納められていた。黒、赤、パープル、ピンク、花がら。間違わぬ様にと上下ペアで、それはそれは綺麗に並んでいたのだ。
震える手で、パープルのショーツを取り出し、あの独特の、滑らかな感触を確かめるかのように、指を這わせながら広げる。
なんて、小さいんだ……
鼠径部以外は、前後が繊細なレースの透かし織り。ウエスト部分は、左右が二本の紐になっている。カップを折り合わせた同色のブラも広げてみると、こちらも同様に、レースの細工が施されていた。
ふと脳裏に、それらをつけた妻の姿が浮かんだ。刹那、私の理性は闇に消え失せた。
私を素通りした彼女は、黒い男の前に立つと、しなやかに伸びる両手をそいつの肩に乗せ、掌を返し、
疑念を
その夜、妻には何も聞けなかった。
背中を向け眠る妻を横目に、一晩中酒を浴びた。
そうだ
過ちを償わせねば
君が地獄で焼かれる前に
・・・
参考音源
ドリーム・シアター
「The enemy inside」
https://youtu.be/RoVAUUFjl0I
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