狼煙
日本では、春は花、秋は月を愛で、季節を楽しんでまいりました。十五夜のお月見は平安時代に中国から伝わり、江戸時代より、中秋の名月を鑑賞する、伝統的な行事となりました。澄み渡る、秋の夜空を昇る月に、人々は収穫の感謝を込めて祈り、来年の豊作を願いました。
今宵の名月は、
薔薇の鮮烈な光沢の中に、暗く
そろそろ、日が落ちてまいりました。あなた様はお帰りになったほうが良い。
間も無く、年に一度の名月が
さあ、行きやりょれ。
えっ、なぜ行かぬ、恥を忍んで申したものを。
さあ行かぬか……、早よう!
何を、んっ……覚悟がおありか?
そうなのですか。
何もかも、お見通しだったのでごさいますね。私が、
神の道より外れた魔狼だと。
えっ、帝国陸軍の密偵?
戸山町、陸軍軍医学校防疫部隷下……
関東軍731部隊。
生体……実験……?
私に近付いたのは、そういうことだったのですか。
生物兵器……
では、私を
或いは、退治なさるか……
密命なのでこざいましょ。
・・・
参考音源
「月と狼」
https://youtu.be/WdW4qz352U0
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