風凪

 探しさがし辿り着いた

 ここがわたしの理想郷まほろば


 泣いたのは 月のせい


 こよなき月が眩し過ぎたから



草花そうくわ静寂にして、銀杏いちょうを揺らした風は止んでいた。けれどもそこに、先程までの暖かい陽光はない。

枝に佇む鳥たちは知っているのだ、虚ろな秋空を。風凪かざなぎの、暫し異様な静けさは、いずれ嵐となる前触れなのだということを。

故に、じっととどまるのだ。


風凪……

女はその一瞬に、魂の宿り木を想い、男は人生の安らぎを見た。二人に、どう結末を知ることが出来ようか。

神の悪戯いたずらか、この世に生を受けた時からの運命さだめだったのか。


もしあの日、どちらかが前を横切らねば、

二人の人生の方向は別だったかもしれぬ。




・・・


参考音源

イングヴェイ・マルムスティーン

「crying」

https://youtu.be/A83-Kobe7hk



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