第23話 謎ノ再開➃
白一面の天井。
俺はあの後、真白の家で寝てしまったようだ。
顔を横に倒すと、時計の針は朝の7時ちょうど。月曜日の朝だった。
「あ、起きた?」
「???」
「驚いた? 髪の毛」
真白の腰まで伸びた髪は肩にかからない程度に短くまとめられてあった。
「ビックリした!」
後ろにいたレイさんがハサミをチャキチャキと音を立たせて「真白様を褒めろ」と強く目で訴えてきたので俺は「似合っている」と本当のことを言った。
「パソコンは?」
「大丈夫」
簡単な食事を頂き、俺と真白は学校に向かった。同じ家、しかも女の子の家から同じ時間に学校に行くのは少しドキッとしたが、幸いクラスの誰にも見られることはなく着いた。
真白は間違えて1年の下駄箱に靴を入れようとしていたのを慌てて止めた。顔を真っ赤にしてその場で涙ぐんでしまった。登校するのは約半年ぶり。さすがに緊張しているようだ。
「あれ?」
2年3組の下駄箱。俺たちはそんなに遅れていたわけでもないのに、みんなの上履きが無いことから全員が既に教室にいることに気づいた。
「真白、今日学校に来るってみんなに言ったのか?」
「……言ってない」
「じゃあ、サプライズってわけでもなさそうだな……。今日何かあったっけ」
――――――――――――――――――
いつも聞こえた高らかな話し声も椅子を引く物音すらも何も感じない静かな廊下を進んだ。
教室のドアを開けたとき、真白は本当の意味で2年3組に帰って来たのだと思い知ることになった。
勿論、俺も動揺した。心のどこかで、当分の間、厄災は起こらないと錯覚していたのかもしれない。
「――――!」
声にならない声。その場の全員が呆然と立ち尽くすことしかできなかった。
クラスの真ん中の隣同士の席。2人は顔を横向きに机に乗せて座るような大勢で、穏やかな表情をしていた。手足は骨が露出して、渇いた血が大量の砂を赤黒く固めている。
全員がもう助からない病にでもなってしまったかのような諦めた、淋しげな顔をしていた。頬を伝る涙を拭くこともなく、俺はただただ、2人を心に焼き付けていた。
――っ。
両親の理不尽な死を乗り越えた俺は、この刹那、2回目の絶望の淵に立たされていた。怖いだとか、辛いだとか、そんな感情を大きく上回るほどのどうしようもなさが全身を駆け巡った。
(2章終わり)
―――――――――――――――
次の更新まで少し空きますかもです。
一応、次話から最終章の予定で、本筋が終わった後は、少しだけ深掘りできなかったキャラのお話を書こうかなとぼんやり考えています。
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