カラスの手記3

         ◆




 カラスは漢字で「烏」と書く。


 鳥という字とよく似ているが、一本足りない。


 カラスは鳥として、何かが欠けているのではないか?


 僕もカラスと同じで、人間として何かが欠けているのではないか?




 彼女は白い。


 自分に自信を持っており、正義を掲げる。


 僕は偽物だが、彼女は本物だ。


 本当に、清らかで美しい。


 


 ハクチョウは白くて、美しい。


 カラスは黒くて、汚らわしい。


 どうして、こうも違うのか?


 僕がどんなに、白く見せようと化粧をしても、元の黒さは変わらない。


 仮面をどんなに被っても、僕の本質は変わらない。




 彼女の白さが妬ましい。


 雪のように白い肌も、聡明な瞳も、輝くような本物の美貌も、正義の心も、妬ましい。


 彼女の全てが、妬ましい……。


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