第23話 私を助けて

白鳥の夕食を作り終え、そろそろ帰ることを伝えようと、おれは白鳥の居る部屋に行った。

「……おい、ウソだろ」

 困った事態が起きていた。

 なんと、白鳥が眠ってしまっていたのだ。

「どうすんだよ」

 目の前で眠っている白鳥はかなり無防備だった。

 しかも、二人きり……。

「ホントにどうすんだよ、おれ」

 おれが考えていると、幸いなことに白鳥が目を覚ました。

「あ、良かった。起きてくれて、本当に良かった」

 白鳥は立ち上がると、おれの方を真っ直ぐ見詰めて、言った。

「……やっと、話せるね。」

「はあ、何言ってんだ? いつも話してるだろ」

 こいつ、寝惚けてんのか?

「私にいつも付き合ってくれて、ありがとう」

 いつもの白鳥じゃない。何かおかしい。

「それと、あなたになら頼める……」

「何を?」

「……私を助けて」

 どこかで聞いたことがあった。

「それは、どういう?」

「今日はここでお別れだね。……バイバイ」

 白鳥はそういうと、玄関までおれを連れて行き、手を振って見送ってくれた。

 おれは、訳のわからないまま、家に帰った。



 翌日、白鳥に訊いてみたが、記憶にないといわれた。

 あれは、何だったのか。



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