第1話 転生
「ここは?どこだ?」
目を覚ますと、女の人の腕の中にいた。
えっと、俺、流星漣。
都内の高校一年生。
『RE:ゼロ・ブレード・アーティスト・オンライン』ってゲームで遊んでた。
そしたら、気を失ったみたいで。
(俺?転生したの?)
自分の手が小さい。
足も小さい。
口もまだ上手く動かないし。
何より……体が思い通りに動かせない!
それにこの女、誰だよ?
「あー」
声は出るけど喋れない。
そして目の前には母親らしき女性の顔がある。
髪の色は黒だけど、顔立ちは日本っぽくない。
白人っぽい感じだなぁ。
金髪碧眼の美人さんだ。
でも、何か違和感あるよな……。
「あらあら、お腹すいたのかしら?」
違うんだけど、まあいいか。
「ばぶばぶ」
「おっぱいあげまちゅね」
そう言って胸に吸い付かせようとする。
いや待て! ちょっと待ってくれ!
さすがにそれは恥ずかしいわ!
俺は必死になって抵抗する。
しかし体は言うことを聞かず、結局授乳されてしまった………………
「名前は何にしようかしら?」
父親らしき人のの声がする。
「そうだな。セリスなんてどうだ」
「まぁ、素敵」
セリス?
これって?
『RE:ゼロ・ブレード・アーティスト・オンライン』において、
聖女を殺す黒幕の名前だ……
◆
あれから三ヶ月ほど経っただろうか。
ようやく言葉が話せるようになってきたぞ。
「ばう!」
「どうちまちたか~?」
名前はアイナというらしい。
父の名前はクラウス。
どちらも日本人ではないようだ。
ちなみに今はベッドの上でハイハイしているところである。
最初は自分の体を動かすことすらできなかったが、今ではかなり自由に動けるようになっていた。
もちろんまだまだ赤ちゃんなのでできないことは多いのだが。
まずはこの世界について調べないとな。
本当に『RE:ゼロ・ブレード・アーティスト・オンライン』の世界なのだろうか。
ネット環境があればいいんだけど、そういうものはない。
あとは本とか新聞かな。
文字はまだ読めないが、絵を見ればだいたいわかるだろう。
もしセリスに転生したのなら、両親はそう裕福ではない村人だ。
そんな彼らが字の読み書きができるとは思えない。
とりあえずは両親を観察しつつ、情報を集めよう。
まずは自分のステータスを確認するか。
名前:セリス(仮)
年齢:0歳
性別:男
種族:人間
スキル:なし
獲得予定スキル:魔法剣レベル1(必要スキルポイント10)
よしよし、出た出た。
やっぱりここはゲームの世界だ。
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