お爺ちゃん、認知症予防にスペオペVRMMO始める
パクリ田盗作
第1話 お爺ちゃん、認知症予防にVRMMO始める
「ふーむ、今の時代は色々種類があるんじゃのう………」
大型家電量販店のフルダイブ式VR機器コーナーで、杖をついた老人こと陽田源三郎(古稀)が感心した様子で見回っていた。
「いらっしゃいませ、お孫さんへのプレゼントですか?」
源三郎が見回っているとエリア担当の店員が笑顔で話しかけてくる。
「いや、わしが使うんじゃ」
「え、お爺さんがですか?」
源三郎が自分がプレイするためと答えると、店員は驚いた顔で聞き返してくる。
「わしな、医者から認知症の初期段階と診断されてのう、こないだテレビでVRMMOとか認知症予防に効果的だと紹介されていたから、買ってみようかと」
源三郎はフルダイブ式のVR機器を購入する理由を店員に伝える。
「あ、その番組僕もみましたよ。ところでVRは初めててすか?」
店員も源三郎が言うテレビ番組をみていたのか同意すると、VRプレイ経験の有無を聞いてくる。
「テレビゲームとかは昔していたが、目が悪くなって集中出来なくなってからは離れたのう。VRは昔ゴーグルするやつで酔ってからしてないの」
源三郎はゲームのコントローラーを握る仕草をしながらゲームのプレイ歴を店員に伝える。
「何かプレイする予定のVRゲームとかあります?」
「いや特にないと言うか、ゲームから離れて今何が流行ってるかわからん。店員さん、何かお勧めないかの?」
「でしたらこのゲームはいかがですか? つい最近ベータテストが終わって、明日から正式サービスが始まりますよ」
源三郎が店員にお勧めのVRMMOがないか聞くと、店員は手元のタブレットを操作して、お勧めのVRMMOプロモーションビデオを見せてくる。
プロモーションビデオは広大な宇宙空間を飛び回る一隻の宇宙船の映像から始まる。
その宇宙船は巨大な宇宙ステーションにドッキングし、ドッキングドアから宇宙服を着た宇宙飛行士が出てくる。
次のシーンでは宇宙ステーション内のロビーと思われる場所でプレイヤーキャラクターと思われるたくさんの人物が活動しているシーン。
インフォメーションと思われる場所で荷物の輸送依頼を受けたプレイヤーがまた宇宙船に乗船して宇宙ステーションから旅立つ。
次のシーンでは宇宙海賊と思われるドクロのデカールが貼られた宇宙船に荷物搬送中の宇宙船が襲われている。
荷物搬送中の宇宙船は必死に逃げて、海賊船は追いかけてレーザーを射つが、バリアに弾かれる。
すると、唐突に別の方向からワープアウトしてきたと思われる複数の宇宙船が海賊船に襲いかかり、ミサイルやレーザーで撃ち落としていく。
最後は荷物を運んでいた宇宙船と、海賊を倒した宇宙船が惑星に降り立ち、荷物を渡してパイロット同士が握手をするところでプロモーションビデオは終わった。
「ギャラクシースターオンライン? ほう、SFスペースオペラ物か」
「ええ、僕もベータテストに参加しましたけど凄く面白かったです。宇宙船戦闘だけでなく、地上戦や惑星探索とかあってよかったですよ」
プロモーションビデオをみていた源三郎がムービーの出来に感嘆の声を漏らすと、店員はベータテストがどれだけ面白かったか魅力を語る。
「じゃあ、そのゲームが遊べる機器見繕ってくれんかの?」
「ではこちらはどうでしょうか? 最新の第四世代VR機器でシグナルもレスポンスも現行ではほぼ最高です」
店員は一台の酸素カプセルのようなVR機器を紹介する。
「シグナルとかレスポンスとかなんじゃ?」
「シグナルは通信速度で、レスポンスは機械がどれだけ脳波を受信して操作にフィードバックするかです。FPS系のプロゲーマーなら特にこだわる部分です」
専門用語がわからない源三郎が店員に質問すると、店員は噛み砕いて専門用語を説明してくれる。
「こちらでしたら当店のサービスで設置工事や初期設定行わせてもらいます。あと追加オプションでこんなのがあります」
「よくわからんし、店員の判断でつけてくれ」
店員は追加のサービスを説明するが、源三郎はめんどくさくなったのか適当に返事をして追加のサービス全てに同意する。
「毎度ありがとうございました! 即日サービスで明日にも設置にお伺いしますので在宅お願いしますね」
「よろしく頼むぞ」
ホクホク顔の店員が手揉みしながら深々と頭を下げて源三郎を見送った。
「えーっと、タイトルなんじゃったかな? あ、ギャラクシースターオンラインだったな」
購入手続きを終えて自宅に帰宅した源三郎は自分がプレイする予定のVRMMOの公式サイトをパソコンで検索する。
「ふむ、基本プレイ無料で月額メンバーシップと課金アイテム制か」
課金要素を調べると月額1500円のメンバーシップ制で、加入するとデスペナの免除などゲームプレイが快適になるサービスが受けられるらしいのでとりあえず1ヶ月だけ加入する。
「正式サービスからなんかのアニメとコラボしたスキンとか販売されるのか」
他にもキャラクターや装備、宇宙船の外見、特殊なエモート(突っ込みを入れると、なにもない場所からハリセンが現れて相手を叩いたり)などを変更する課金スキンなどが紹介されており、正式サービス開始時のイベントの一つとして現在放送されているアニメとのコラボスキンが告知されている。
「ふむ、色々出来て面白そうじゃの」
源三郎は公式サイトやベータテストに参加した人のSNSの書き込みなどをみてこれからプレイするゲームの情報を集めることに一日を費やした。
「以上で設置と設定は終わりました。カプセルに入ってログインダイブすればすぐに遊べます」
「ご苦労様です」
翌日、源三郎の家に業者がやってきてフルダイブ式のVR機器を設置して、初期設定を終えて帰っていく。
「さて、もうすぐサービス開始時刻じゃし、ログインするかの。えーっと、説明書によるとこのボタンか?」
業者を見送った源三郎は時刻を確認してログイン準備に入る。
老眼鏡をかけて説明書とにらめっこしながら起動スイッチの位置を確認したりする。
「中に入ったら脳波を受信するヘルメットを装着して横になるんじゃな」
説明書に書かれているイラストを真似てカプセル内のベッドに横たわり、ゴーグル付きのヘルメットを装着する。
「ネットダイブを開始。ギャラクシースターオンラインに接続します」
機械音声が聞こえたかと思うと、源三郎の意識はVR世界にダイブすると、宇宙空間にギャラクシースターオンラインのロゴが浮かんでるエリアにいた。
「ほーっ、今のVRはすごいのう」
「ギャラクシースターオンラインへようこそ。まずはプレイサーバーを選んでください」
源三郎が目の前に広がる無限の宇宙空間に感心していると、電子音声ガイダンスと共に、目の前にサーバー一覧表が表示される。
「ふむ、ノーマルサーバーとロールプレイサーバー? 違いはなんじゃ?」
「ノーマルサーバーは従来のVRMMOが遊べるサーバーで、ロールプレイサーバーは可能な限り現実世界の情報を排除してゲーム世界のキャラクターになりきってロールプレイを主目的にしたサーバーです」
源三郎がサーバー一覧に表示されてるノーマルとロールプレイについて疑問を口にすると電子音声が疑問に答える。
「ふむ、よくわからんしノーマルでいいか」
「ノーマルサーバー選択を確認。ユーザーはメンバーシップ加入しているので一つのサーバーに最大五人までキャラクターを作成できます。このサーバーでキャラクターを作成しますか?」
源三郎は空いてるノーマルサーバーの1つにタッチする。すると電子音声がキャラクター作成上限数を教え、キャラメイクに移ってよいか確認してくる。
「うむ、キャラメイクするぞ」
「第1ノーマルサーバーでキャラメイクを開始します」
キャラメイクに同意すると、目の前にのっぺらぼうのマネキンが現れる。
「ふむ、こいつを弄ってキャラクターを設定するのか」
マネキンに触れると、触れた箇所のスキンパーツ一覧が表示され、スキンパーツをタッチするとマネキンに貼り付けられていく。
「声も自分で設定できるのか。とはいえ、女性キャラとか出来ぬし、いまさら若いキャラやってもな………リアルのわしをアバターに出来んかのう?」
「可能です」
源三郎がスキンコスメを弄りながら独り言を呟くと電子音声が返事してくれる。
「お? 出来るのか?」
「はい、キャラメイクが苦手な方や、素顔を出してる配信者などが自分に寄せたキャラを作ったりしますので」
「じゃあ、それで頼む。声もこのままで」
「了解しました」
源三郎が電子音声とやり取りすると、外見を弄っていたマネキンの姿が白髪の長髪に白い顎髭のパイロットスーツを着た源三郎になる。
「次にキャラクタネームを決めてください。公的、及び特定の団体や個人を差別する名称、他人を不快にさせる名称はつけないでください。場合によっては強制変更します」
キャラクターの外見が決まると次に名前を決める際、注意事項規約と免責事項が書かれたウィンドウ画面が表示される。
「名前は源三郎で」
「重複チェック中………その名前は使用可能です。源三郎で確定しますか?」
キャラクタネームも源三郎は自分の名前にすると確定に同意する。
「最後にサポートロボットを設定してください」
「サポートロボット? なんじゃそりゃ?」
キャラメイクを終えたと思っていた源三郎は間の抜けた声で聞き返す。
「サポートロボットは、チュートリアルの解説やゲーム内の専門用語、ゲームプレイ中に発生した疑問にお答えするロボットです」
電子音声は回答しながらサポートロボットについての解説動画を表示する。
「ふむ、ドローン、動物、人型からアーキタイプを選ぶのか………ドローンタイプで設定するかの」
源三郎が作ったサポートロボットは空に浮かぶ球体型のドローン。球体の中心部にはモニターが設置されており、絵文字などで感情を表現している。
「サポートロボットの名前を決めてください」
「うーん………ロボで」
「重複チェック中………その名前は使用可能です」
「他に設定する物はあるかの?」
「以上でキャラメイクは終了です。ギャラクシースターオンラインをお楽しみください」
源三郎がキャラメイクを終えると、周囲の風景が宇宙空間から、何処かの宇宙ステーション内にかわり、頭上に名前が表示されたキャラクター達が騒いでるエリアに立っていた。
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