【二章完結】魔女と紅茶と妖精と
きみちん
第0話 Episode 0
そこは無限とも思える程広い広い宇宙のとある空間に一隻の宇宙船があった。
船内の操舵室の中央に座る男はこの船の艦長である『ディビッド・マクガイヤ』
若き頃は第三次大戦において『海鷲』の異名を持つエースパイロットであった。
「現在の座標位置の確認っ」
艦長の指示に従い女性のオペレーターが目の前の機械装置を操作し確認作業を行う。
「現在地NZ一二八、EZ〇六一、誤差〇コンマ〇〇〇二、空間転移成功ですっ!」
モニターを確認しながらオペレーターがそう報告すると安堵の溜め息があちらこちらで聞こえ来た。
「それでは目標地点への移動を開始する。目標の惑星までの距離を確認っ」
マクガイヤがそう指示したその時であった。艦内にけたたましく警報が鳴り響く。
『エマージェンシーコール発令、エマージェンシーコール発令、本艦に向け急速接近してくる物体を確認』
すぐさま艦長は各オペレーターに指示を出す。
「早急に物体の確認っ! 本艦に最接近するまでの時間は?」
艦長の指示に従い数名いる女性のオペレーターは必死に機器を操作する。
「物体は小型の隕石と思われますっ」
「隕石の速度、軌道の計算を実行……艦長っ!! 三分後に本艦に直撃しますっ!!」
「急速転回っ!! 何としても直撃は避けるのだっ! 機関室っ、応答をっ!」
『こちら機関室っ、エンジン始動まであと二分少々かかります……』
その返答は直撃を免れないと言う事を意味していた……
『全乗組員に告ぐっ!! 体を固定させ衝撃に備えよっ! 繰り返す、衝撃に備えよっ!』
時間が無さ過ぎる為に必要最低限の指示しか出す事が出来なかった。
ドガゴオォォォーーーンッ!!!!
爆音と共に強い衝撃が艦内を走る。
「うぅっ……」
艦長であるマクガイヤは機器に頭を強くぶつけた為に額から血が流れ落ちていたが命に別状は無い様であった。
『くっ……被害状況の確認を……』
「計器類に異常は見当たりません……コンピュータは……無事の様です……」
女性のオペレーターも身体を強く打ってはいたが動く指先で機器を操作し艦長に報告した。
『こちら機関室……強い衝撃により破損箇所多数……ただ修理は可能と思われますので今後の航海には問題ありません……』
不幸中の幸いかその後の報告においても人的被害は軽微であり、機械装置の類いも修復可能の様で艦長はホッと胸を撫で下ろした。
最後の報告を聞くまでは……
『こちら空間転移室……被害は甚大……修復は困難を極め、本星への帰還は絶望的かと思われます……』
全ての乗組員の血の気が引いた瞬間であった……
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