#273 目玉焼きの男

 男の朝ごはんは決まっている。

 半熟の目玉焼きと白米。これで十分だと男は語る。

 侮るなかれ。男は目玉焼きを綺麗に焼くために、一ヶ月間毎日作り続けた過去がある。

 まずは前日のうちに卵を取り出しておき、常温に戻す。

 朝になったら小さいフライパンを火にかけ、油を垂らして馴染ませる。その間に卵を小さな容器に割り入れ、カラザを取り除く。この時、絶対に卵の殻で黄身を破らないこと。

 フライパンが温まったら、ゆっくりと卵を流し入れる。蓋をして3分待つ。日は弱いほうがいい。

 じっくりと焼き上がるのを待つ。

 出来上がったら、ご飯を盛った丼に乗せる。

 実はこのまま同じ手順でやると、黄身に幕が張らない目玉焼きが出来上がる。

 醤油をひと回しして、いただきます。


「うん、美味い」

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