#242 8月くんと9月くん

「おい! 9月! 飲んでるかー!」

「……えぇ、ぼちぼち」

「んだよ、明日からお前の月だろ? もっとテンション上げてこうぜ!!」

「いやその……」

「ほらほら! まだまだ俺の熱は収まらねえぜ!! お前ももっとテンション上げて、燃えろ!!」

「……も、燃えろー!」

「そうだ! その調子だ! 一緒に行くぞ!!」

『燃えろー!!』



「あーあ、あれはダメね」

「どうしたの10月ちゃん」

「ん? 11月じゃない、あんたなんでここにいんのよ」

「そろそろ8月くんが終わるから、引き継ぎの様子を見にきたの。それより、さっきダメって言ってたけど、何がダメなの?」

「あれよ。見てみなさい。8月がまた悪酔いして9月に絡んでんの」

「本当だ……」

「毎年あんなふうに絡んでさ、9月の調子狂わしてんの。本当は9月が徐々に気温を下げて行って、程よい気温になった状態で10アタシに引き継ぐはずなのに、8月のせいでそれがうまくできなくなったの。8月のテンションを変に受け取っちゃって、気温の調整をスムーズにできていない。だからアタシの時に一気に気温が下がったように人間達は感じんの」

「そうだったんだ。11わたしに引き継ぐ時はもう冬の気温だから気づかなかった」

「全く。8月も8月よ。あんな風にしてたら気温も上がって当然。もう冷夏なんて2度とできないんじゃないかって言われてるんのよ。皺寄せはアタシがしなきゃいけないのにさ」

「あははは」

「ちょっとガツンと言ってくるわ」

「ダメだよ。10月ちゃんまで暑くなったら、それこそ秋が消えちゃう」

「もう秋なんてないようなもんだろ」

「それでも、日本の四季を守らなくちゃ」

「……わかったよ。でもせめて止めることはする」

「え、ちょっと」

「おーい! 8月! そのへんにしとけよ!!」



「ゲッ!? 10月!?」

「ああ!? 今『ゲッ』っつたか!?」



「あー、言ってる側から熱くなってるよ……」

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