#241 夏休みの〇〇タイム

 少年は嘆いた。

 終わらないのだ。

 夏休みの宿題が。

 あと2日しかない。今日と明日で夏休みが終わってしまう。

 それなのに夏休みの宿題は終わっていない。真っ白なページが眼下に広がっている。

 日記なんて最初の数日しかない。五教科のプラントなんで一枚も終わっていない。

 全然終わっていない。白紙に近い五教科+αの宿題達。


「……ん? 五教科?」


 ふと、少年は思った。

 宿題の提出タイミング。

 夏休み明けの最初の登校日。その日に提出するのは主に読書感想文や自由研究といった、五教科とは関係のないもの。

 

 少年は急いで各教科の日程を調べた。

 そして、ニヤリと笑った。。


「ふふふ、いける。これならまだ間に合う!」


 順番は決まった。

 五教科はそれぞれ提出まで時間がある。提出日が早いものから手をつけていけば、終わらせることができる。


「ああ、なんで天才的な発想なんだろう。そうだ、これに名前をつけよう。そして、あいつらにも伝えなきゃな!」


 自分のように宿題が終わらず嘆いている友人達を脳裏に浮かべながら、何がいいかと考える。

 そしてそれはすぐに思いついた。

 

「そう、サッカーの用語を借りて『アディショナルタイム』と名付けよう。ふっ、試合はまだまだこれからさ!」

 

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