#119 4月さんのお怒り

「今日で『4月』も終わりだね。お勤めご苦労さん」

「……どうもです」

「今年はどうでした? 『4月』さん」

「例年通りでしたよ。それより、『5月』さんの方が大変じゃないですか? ゴールデンウィークがあるわけですし」

「はははは! そんなものいつもと変わらないさ。ゴールデンウイークさえ過ぎて仕舞えば、何もない。6月君にバトンを渡すだけになる」

「そうですね。それでは、私は休みに入ります」

「おう、お疲れさん」

「あ、そうでした。5月さん、一つ訂正を」

「?」

「私の正式アクセントは尾高型です。頭高ではありません」

「え? 何のこと?」

「ですから、私はあなたの『5月』と同じアクセントではありません。8月君と同じです。後ろが上がるんです。気をつけてください」

「んなこと、気にする必要」

「仕事は正確にしなくてはいけません。いいですね?」

「……ハイ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る