#50

「なあ、聞いてくれよ」


「ん? なんだ?」


「実はさ、50本行ったんだよ」


「……何が?」


「だから、50本行ったんだよ」


「いやだから、何が50本行ったんだよ?」


「ショートショートだよ。一般的には掌編しょうへん小説しょうせつって言われてるな。短編小説よりもさらに短い物語を示す言葉で、俺今年の一月から始めたんだ。それで、今日で50本に到達したの」


「へー、毎日投稿してたのか?」


「そうだよ。毎日、頑張って書いたんだよ。ほんと、途中で何度か『今日はいいかな』って思うことあったけど、喝入れてやったんだから」


「そりゃ頑張ったな。けどなんで50本の時? こういうのって普通100本行った時じゃね? 50/365ってどうなのよ」


「……だって、50本って一年やってる特撮番組の話数と大体同じ数字なんだもん。特撮だって50話くらいやってるし、だからこう……一緒だなぁって」


「いや、テレビドラマの脚本50話とお前の掌編小説50話を一緒にすんなよ。つかお前、その『50』の中に物語っていうより気を衒ったものいくつあるよ?」


「…………」


「凹むなよ。事実だろ」


「……はい、返す言葉もありません」


「んで、今日はなんで物語じゃなくてこんな雑談な訳?」


「そりゃ……察して?」


「あ、ダメだこいつ」


「ダメじゃないよ、まだまだ頑張んなきゃなんだから」


「そうだな。頑張れ。残り315本だろ? 無駄に書くんじゃねえぞ。ちゃんと、力になるように書けよ」


「わかったよ……んじゃ、早速明日かく51本目のネタを打ち合わせしたいんだけど──」

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