#37 新たな“色”の発見
「教授、僕、あることに気づいてしまいました! 今度こそ大発見ですよ!!」
とある日のとある大学の研究室。
そこのとある研究生が教授の元に、鼻息を荒くしてやって来た。
教授は研究生の言葉を聞き終えると、怪訝な顔をして返す。
「何かね? またどうせ碌でもない発見じゃないだろうな」
「今度こそ世紀の発見ですよ。いいですか、まず“青りんご”って食べ物あるじゃないですか? 果物のりんごのやつです。でもあれ、“青”じゃなくないですか? だって“青空”と全然色違うじゃないですか。他にも“青のり”だってそうです。海苔は青じゃなくないですか? なのにみんな“青のり”って言ってるんですよ? おかしくないですか?」
「ふむ」
「まだまだありますよ。“青信号”だって“青”じゃないですよね? みんな“青信号”なんて言ってますけど、全然青じゃないですよ。極め付けは“青汁”! あれのどこが“青”なんですか!? 百歩譲ってりんごと信号機は青って言えますけど、青汁に至っては絶対に青なんて言えません! だから、あれは青じゃない別の色だったんですよ!!」
「ふむ……面白い発見だな」と教授は思った。
はるか昔、人類は数多くの“色”を作り出してきた。
しかし、作り出した色は増え過ぎてしまったのだ。
白一色だけで二百種あると一時期言われていたほどだ。
だから人類はある時代を境に色を絞った。基本の三原色の“シアン”、“マゼンタ”、“イエロー”の割合で色を表現することになったのだ。
色の数が絞られて長き月日が流れた。
そして、再び、新たな色として、かつて“緑色”と呼ばれていた色が復活を遂げるのだった。
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