#28 不治の病

 不治の病。

 それは、決して治らないと言われている病を示す。

 現代の医学では決して治させない。特効薬もなく、その病にかかれば人生が終わる。

 そして、この不治の病は誰もがかかると私は思っている。

 なに、簡単なことだ。誰しもが感染し、決して特効薬はない。

 完治するか、完治せずに消え去るか。この二択しかない。

 そんな病とはいったいなんなのか。



 簡単だ。それは「夢」だ。「夢」は誰しもが抱く。夢を抱いた時点で、人は不治の病に感染する。

 だってそうだろう。

「夢」の病を完治するにはその夢を叶えるしかない。

 夢が叶わない時、人はその身を投げ出す人さえいる。夢によっては、人生を終えてしまう。

 だから私は決して「夢」を抱かない。

 夢を抱かなければ、不治の病にかかることもない。

 それは寂しいことだ、と友は言った。

 その友は数年前に亡くなった。

 「夢」に感染し、諦めた。

 友を失くした私は、決して夢を抱かない。

 だから私は言い続ける。「夢」は病だと。

 いつしか、この病が病と認定され、治癒薬ができることを願ってる。

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